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学部

「がん放射線療法における社会人学び直し教育セミナー」

第1章  診療放射線技師の学び直し教育セミナー

第2章  放射線治療の品質保証・品質管理のトレーニングコース概要

       ゴール

       セミナーのスケジュール

       修了証書

第3章 放射線治療における患者の安全は診療放射線技師の手の中に

       品質保証(QA)・品質管理(QC)の目的

       患者の安全は診療放射線技師の手の中に

第4章 わが国の放射線治療を担う診療放射線技師の専門的な役割

       放射線治療での医療資格者の役割

第5章 放射線治療におけるQA・QCに関する法令遵守の意義

       医療職種の法令遵守の重要性

       法令遵守の意義

       診療放射線技師のチーム医療への貢献

がん放射線療法における社会人学び直し教育セミナー

第1章  診療放射線技師の学び直し教育セミナー

 広島国際大学保健医療学部診療放射線学科では、社会人として放射線治療に携わっている診療放射線技師のための学び直し教育セミナーを行っています。このセミナーは、「がん医療における放射線治療の品質管理高度専門教育セミナー」と題目を掲げ、診療放射線技師が病院でがん医療の質の向上、医療安全の確保、放射線治療の均てん化に寄与できるようにすることをめざすものです。

  がん対策基本法(平成18年6月23日法律第98号)では、放射線治療分野に関する人材を育成することや品質管理を行う必要があることを明らかにしています。同様に、良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部改正(平成19年3月30日)では、医療機器について適切な保守点検を行うための計画を策定し、保守点検を実施することが、病院において医療安全を確保するために効果的な措置として有用な方法になると指摘しています。

 病院では、すべての診療分野における過去の医療事故の教訓から患者の医療安全が最優先されます。放射線治療では、患者に対する安全な治療と医用電子直線加速装置の品質保証(QA)・品質管理(QC)が重要視されています。そのため、特に、コンピュータ技術革新によって高度化されたリニアックのQA・QCは品質管理プログラムに基づき、系統だった手順で行わなければなりません。実際上、診療放射線技師は病院でQA・QCに日夜取り組んでいますが、それぞれの病院ではさまざまな方法でそれを実施しています。医用電子直線加速装置とはリニアックのことです。このような状況をおしはかって放射線治療におけるQA・QCの習得を行い、同時にQA・QCに伴う問題を解決していく必要があります。そこで、広島国際大学では、社会人の再教育の必要性を考え、最新鋭のリニアックを用いた講義型と実習形を合わせた放射線治療における品質管理の教育セミナーを開始しました。今まで、多数の社会人の診療放射線技師が、本学科の学び直し教育セミナーを受講し、放射線治療の専門知識と高度技術を習得し、がん医療に貢献しています。

 この教育セミナーは、3月と9月の 年2回開催されます。広島国際大学に は、最新のリニアックが整備され、講 義室とX線実験室を使用し、1週間に わたり米国式の医用電子直線加速装置 のQA・QCの教育が行われます。

 セミナーは、最初の平成20年3月に 招いた米国のJoseph Y.Ting博士(MIMA  CANCER Center)からQA・QCの ノウハウを伝授された診療放射線技師に よってその方法が教授されています。 講義では、放射線治療におけるQA・QCは「患者の安全は診療放射線技師の手の中にある」という考え方にたち、それぞれ受講者が、講義とともにQA・QC法を実習しながら習得する方法をとっています。セミナーの最終日には、筆記試験とQA・QC実技試験が課せられ、合格者だけに修了証が本大学の学長から授与されます。

第2章  放射線治療の品質保証・品質管理のトレーニングコース概要

ゴール

 受講者は、本コースの教育プログラムを習得した時には次のことが可能になります。

 1)医用電子直線加速装置の基本的な動作原理を理解することができます。

 2)放射線治療を担当する上で基本的な線量測定の概念を理解することができます。

 3)医用電子直線加速装置の日常のQA・QCの実務の必要性と方法を理解することができます。

 4)系統的な公式_/正規の品質保証プログラムの必要性を理解することができます。

 5)医用電子直線加速装置の受入れ試験や日常の保守管理の実践ができるようになります。

 6)故障が発生した場合の医用電子直線加速装置の不具合を発見することができます。

 7)それぞれの病院で実際的な品質保証プログラムの策定と実行が可能になります。

 8)実行する品質保証プログラムの内容を他病院に対して教育できるようになります。

 9)社会人として大学での学び直しの高度専門教育が可能になります。

 10)その他、医療人としてすばらしい人間関係を作ることができます。

セミナーのスケジュール
セミナーは1週間にわたり講義、演習、および実習が行われ、非常にハードな内容です(図2〜8)。具体的なスケジュールは次のとおりです。

A. 講 義

【第1日目 午前】

  A1. 医用電子直線加速装置のQAと診療放射線技師の役割・責任

  A2. 医用電子直線加速装置のルーチンQA—患者の安全は自分の手の中に―

  A3. 医用電子直線加速装置と附属器具の理解

  A4. 機械パラメータのQA

  A5. 幾何学的なQA

【第2日目 午前】

  A6.X線照射パラメータのQA

  A7.電子線照射パラメータのQA

  A8.MLCのQA

  A9.ビームプロファイラによるQA

【第4日目 午前】

  A10.EPIDのQA

  A11.EPIDの線量評価

  A12.MU計算法

【第5日目 午前・午後】

  A13.リニアックの標準的な日常点検の実際

  A14.筆記試験

  A15.実技試験

  A16.Q&A

  A17.修了証書授与(合格者)

B.実 習

【第1日目 午後】

  B1. 機械パラメータ

   1) 水平に関するガントリと高精度水準器によるデジタル読み値の確認

   2) 距離計(フロントポインター)による寝台の高さの確認

   3) フロントポインタの回転軌跡によるコリメータ回転中心の変動の確認

   4) 照射野十字クロス線によるコリメータ回転中心の変動の確認

   5) 光学的距離計の確認と壁面レーザの確認

   6) 垂直に関するガントリのデジタルと高精度水準器によるデジタル読み値の確認

   7) 光照射野十字線とすべてのレーザ十字線との確認

   8) アイソアラインを用いたレーザ十字線の確認

   9) 側壁および床面でのガントリアイソセンターの確認

   10) フロントポインタを用いたガントリ回転のアイソセンターの確認

   11) 定規による目盛照射野と光照射野の確認

   12) フロントポインタによるSSDの確認

   13) 寝台の上下・左右の位置精度の確認

   14) その他

  B2. フィルム法による幾何学的なQA

   1) 目盛照射野—光照射野—実照射の一致

   2) ガントリ回転中心精度の確認

   3) 照射野回転中心精度の確認

   4) 寝台ビーム軸の回転中心精度の確認

   5) その他

  B3. 装置故障時の対応

   1)エマジェンシースイッチの動作確認と患者の対応

【第2日目 午後】

  B4. MLCのQA

   1) 固定形状の測定

   2) 再現性の測定

   3) ダイナミックウエッジの測定

   4) その他

  B5. ビームプロファイラによるQA

   1) 平坦度・対称性の確認

   2) ダイナミックウエッジの測定

   3) その他

【第4日目 午後】

  B8. EPIDの線量評価

   1) 光照射野と放射線照射野の確認

   2) ビームプロファイルの確認

   3) コリメータ回転中心精度の確認

   4) クロスヘアートレイのアイソセンターの精度確認

   5) ダイナミックウエッジの確認

   6) その他

  B9. MU計算と測定検証

   1) さまざまな方法による線量計算と測定検証

   2) その他

修了証書
セミナーの最終日には、筆記試験と受講者による実技試験が行われ、合格者に広島国際大学から修了証書が授与されます。

第3章 放射線治療における患者の安全は診療放射線技師の手の中に

品質保証(QA)・品質管理(QC)の目的

医用電子直線加速装置のQAとは、患者が望む医療の質と医療安全が十分に満たされていることを保証するために、病院の医療従事者が精度維持や医療安全などを行う活動のことです。病院に導入した際に装置の性能特性や動作状態がメーカの示す仕様書どおりであるかどうかを確認する受入れ試験やコミッショニング(試運転)がそれに相当します。QCとは、患者が望む医療の質と医療安全が確保されるように、装置の性能を維持することであり、装置導入時に行う受入れ試験の結果を基準にして正常運転やその性能の恒常性を定期的に評価することです。

 医用電子直線加速装置のQA・QCの目的は、施設に導入された装置の性能を維持し、安全かつ許容される範囲で高い精度の放射線治療を提供するとともに、患者の生活の質に貢献することです。また、適切なQA・QCを実施することによって次の利点を得ることができるようになります。

1) 病院に導入された医用電子直線加速装置の性能の維持ができます。

2) 安全かつ許容される範囲内で精度の高い放射線治療を提供できます。

3) 患者の生活の質に貢献できます。

4) 医用電子加速装置のダウンタイムを減少することが可能になります。

5) 過剰照射や過小照射などの予期せぬ誤照射事故を予防できます。

6) 医用電子直線加速装置による照射精度の水準が揃えられ、放射線治療の均てん化が可能になります。

患者の安全は診療放射線技師の手の中に
がんの放射線治療では、医療の質の向上と医療安全の確保が重要であることはいうまでもありません。医用電子直線加速装置はがん治療にX線、電子線が使用されています。医用電子直線加速装置はメーカによる設計・製作のミスや不具合の発見、およびがん患者への照射精度を維持するためにユーザが受入れた医用電子直線加速装置のQAと定期的なQCを行わなければなりません。このためには、それぞれの病院で適切に行えるQAプログラムを開発し、日常的に短時間で実務ができる標準的な方法を確立していく必要があるのです。医用電子直線加速装置の品質保証モデルはIEC、AAPMなどによって提案されていますが、わが国の病院では、比較的短時間で行え、かつ実用的な方法が明らかでないため独自の方法で実施されています。したがって、医用電子直線加速装置の性能維持と安全を確保するために標準的なQAプログラムを開発し、臨床現場に普及させていく必要があります。医用電子直線加速装置の日常のQA・QCは、診療放射線技師が、専門知識を身につけ、「患者の安全は自分の手の中にある」という考え方に基づいて行わなければなりません。

第4章 わが国の放射線治療を担う診療放射線技師の専門的な役割

放射線治療での医療資格者の役割

日本では、病院で放射線治療に用いられている医用電子加速装置のQA・QCは誰が行っていると思いますか。当然ながら、わが国ではその責任と役割は診療放射線技師が担っているのです。診療放射線技師が行う放射線治療分野の業務はこれだけではありません。患者の位置決め撮影、治療計画、固定具/補助具の作製、画像照合、患者治療、品質保証/品質管理、放射線安全管理、医療安全確保、インフォムドコンセントなど多岐にわたっています(図9)。

また、わが国において、がんの放射線治療に携わることができる者は、医療法や関係法令に基づき医師(歯科医師を含む)、診療放射線技師,看護師の3職種に限られています。放射線治療は、悪性腫瘍と正常組織との放射線感受性の違いを利用したものです。放射線治療が悪性腫瘍の治癒に大きく効果をもたらすかどうかは、がん病巣範囲を正確に決めること、病巣範囲に間違いなく照準を合わせて正確な線量を投与できるかどうかにかかっているのです。前者は医師、後者が診療放射線技師と役割分担されています。

このように、放射線治療に携わる医療職種の役割と責任は、医師、診療放射線技師、看護師のそれぞれで明らかに違います。表1は、国家資格者の医師、診療放射線技師、看護師と無資格者の放射線治療専門診療放射線技師、品質管理士、医学物理士の放射線治療分野での役割を示しています。  国家資格者の役割をもう少し詳しくいえば、医師は腫瘍診断、治療方法の決定、がん病巣の設定、照射法と線量配分の決定、経過観察、追跡調査などの業務を行います。一方、診療放射線技師は、治療計画による線量分布作成やモニタ単位数の計算、位置決め撮影、固定具・補助具の作製、照射照合、患者のセットアップと毎日の照射治療、医用電子直線加速装置等の品質保証・品質管理など多くの業務を担っています。看護師は患者の介助、説明、診察の補助などが役目であるといえます。特に、診療放射線技師は患者への照射治療などの臨床面だけでなく、医学物理・医療工学の分野などにおいてもその役割を実践し、がんの放射線治療に貢献しています。現在、わが国で行っている治療計画は、医師と診療放射線技師の両者が行っていますが、この業務は医学知識に基づき放射線治療技術を習得した診療放射線技師が行うのが望ましいといえます。なぜなら、医師は「患者を診る」という根本的な考え方を優先させ、患者の診察などに多くの時間を割き、診療放射線技師に治療計画装置の操作や線量分布作成など技術的な業務を任せることが、本来のチーム医療の姿であると思います。

表1 放射線治療分野での職種の業務分担

第5章 放射線治療におけるQA・QCに関する法令遵守の意義

医療職種の法令遵守の重要性

病院では、医療法、医師法、その他の身分法によって医療従事者の役割と責任が課せられています。法令遵守の重要性はいうまでもありません。病院で行われる医用電子直線加速装置、治療計画装置、位置決め装置などの医療機器のQA・QC行為は誰でも行ってよいというものではありません。その行為自体は、患者の命に直接結びついていきます。したがって、医療機器のQA・QCは大学等で基礎知識を学び、その後、高度な専門知識と技術を身につけた者が行わなければ、放射線治療の質の向上と医療安全が確保できません。

 法律に違反すれば誰でも罰せられることは周知の事実です。例えば、診療契約に基づく注意義務違反(債務不履行責任:民法415条)では開設者の責任が問われ、また、医療行為者の過失(不法行為責任:民放709条)では個人、管理・監督者の注意義務違反(使用者責任:民放715条)では院長・部長等、チーム医療等の注意義務違反(共同不法行為責任:民法719条)では関与者全員が、身体、生命、財産、人格権などの損害賠償に関して民事責任を問われることになります。誰でも分かることは、医用電子直線加速装置などの医療機器の品質管理が担える者は、医療職種に限定されているということです。それでは、まず医療機器の品質管理が医療行為の範疇に当るかどうかということから法律に基づいて説明します。

 医療法(第30条の21)には、エックス線装置等の測定で「診療用高エネルギー放射線装置、診療用粒子線装置及び診療用放射線照射装置について、その放射線量は6月を超えない期間ごとに1回以上線量計で測定し、その結果に関する記録を5年間保存しなければならない」とあります。ここでいう線量測定は物理的・技術的な品質管理項目に該当します。したがって、品質管理は医療法の範疇に入るものと解釈できます。

 次に、医療法一部改正(医政発第0330010各都道府県知事宛、厚生労働省医政局通知)には、医療機器の保守点検・安全使用に関する体制について、「病院等の管理者は医療機器の安全使用のための責任者を配置すること。医療機器安全管理責任者は、医療機器に関する十分な知識を有する常勤職員であり、医師、歯科医師、薬剤師、助産師(助産所に限る)、診療放射線技師、臨床検査技師又は臨床工学技士のいずれかの資格を有していること」とあります。医療機器安全管理者はこれらの7医療職種にだけに限定されました。機器管理は危機管理に通じ、医療機器のQA・QCは安全管理の中に含まれます。また、「医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、医療を受ける者に対し、良質かつ適切な医療を行うように努めなければならない」とあります。医用電子直線加速装置などのQA・QCは、患者に対し良質かつ適切な医療を提供することであり、これを行う者は医療の担い手である医療職種に限られているのです。

 さらに、がん対策基本法の付帯決議(平成18年6月15日参議院厚生労働委員会)には、放射線療法の品質管理が十分に行われるよう適切な措置を講ずるとともに、併せて、専門的な人材の育成に努めること」と示され、次に「がん医療においてチーム医療による対応の必要性が増していることを鑑み、看護師、薬剤師、診療放射線技師等のコメディカルスタッフの専門的知識、人材育成、技術の修得が促進されるよう、必要な措置を講ずること」とあります。コメディカルスタッフとは国家資格を有する医師、診療放射線技師、看護師などの医療従事者のことであり、その者によって品質管理を十分に行うようにしなければならないと言っているのと同じことです。これらの法律から分かるように、医療機器のQA・QCの業務には医療法なの適用を受け、医療職種が行うものであると判断されます。

法令遵守の意義

例えば、医学物理士や品質管理士などの医療無資格者がこのような身分法に違反した場合には、どういうことになるのでしょうか。過去の法律の疑義解釈回答に基づき述べてみます。

 医師法の疑義照会回答(昭和47・1・19 医発76 各都道府県知事宛 厚生省医務局長通知改正 平8健政発262)では、医師等の資格確認において「最近、無資格者が医業又は歯科医業を行っているために摘発される事例が発生しているが、無資格者による医業又は歯科医業は、国民の生命、身体に対する脅威となることはもとより、国民の医療に対する信頼を失墜させる原因にもなるものである。無資格者が医業又は歯科医業を行うことが医師法第17条または歯科医師法第17条に違反することとなるのはもとより、無資格者に医業若しくは歯科医業を行わせた病院若しく診療所の開設者若しくは管理者についても、その態様によっては、刑事責任を問われ、さらに、免許の取消等の行政処分となることとなる(平八健政発二六三)」と通知されています。すなわち、病院において無資格者を雇用して医療行為を行わせ、重大な医療事故が発生した場合などには、当事者だけでなく、その業務を行わせた病院長等の刑事責任は免れることはできず、状況によっては免許取り消し処分の対象になると考えられます。病院長はそんなことは知らなかったですまされないのです。

 さらに、医師法の疑義照会回答(平成17・7・26 医政発0726005 各都道府県知事宛 厚生省労働省医政局長通知)において、「医師、歯科医師、看護師等の免許を有さない者による医業(歯科医業を含む。以下同じ)」は、医師法第17条、歯科医師法第17条および保健師助産師看護師法第31条その他の関係法規によって禁止されている。ここにいう「医業」とは、当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断および技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、または危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)を、反復継続する意思をもって行うことであると解釈している。ある行為が医行為であるか否かについては、個々の行為の態様に応じ、個別具体的に判断する必要がある。しかし、近年の疾病構造の変化、国民の間の医療に関する知識の向上、医学・医療機器の進歩、医療・介護サービスの提供の在り方の変化などを背景に、高齢者介護や障害介護の現場等において、医師、看護師等の免許を有さない者が業として行うことを禁止されている「医行為」の範囲が不必要に拡大解釈されているとの声も聞かれるところである」と通知されています。この疑義照会の回答によれば、医療無資格者の医療行為は重大な問題があると指摘しているのです。もし、無資格者が国家資格もなく医療行為等を行えば、医療職種の身分法に照らして罰則をとらされることになるのは間違いありません。正確な判断は厚生労働省に疑義照会を仰がねばならないことはいうまでもありませんが、何人も法律に違反してはならないことは当然のことなのです。

 また、医学物理士の資格についてですが、平成25年4月12日の有田芳生 参議院議員よる重粒子線治療に関する質問主意書の中で、図10のように阿部晋三 内閣総理大臣は「お尋ねの医学物理士を国家資格とすることは考えていない」とする答弁書を閣議決定しました。答弁書では、お尋ねの医学物理士等の医療従事者の労働条件については、労働基準法等の関係法令にもとづき医療機関と医療従事者の契約で決められるものだといっています。実際的に、病院では医学物理や放射線治療技術などの業務は診療放射線技師が担っており、全く患者医療に支障を来しているようなことはありません。国家資格を持たない者は放射線治療業務に携わることができないことは上述のとおりですので、病院の管理者は医療法等の関係法令を遵守しなければなりません。

診療放射線技師のチーム医療への貢献
放射線治療レベルの向上は、医療スタッフの高度専門教育に負うところが大きく、結果として放射線治療精度の向上と患者の医療安全を確保できることにつながります。わが国の放射線治療の実情は、米国と大きく異なり、診療放射線技師の役割と責任は重く、患者の安全と治療精度が維持され、チーム医療への貢献が行われています。しかしながら、放射線治療において専門的にリーダシップを担うためにさらなる診療放射線技師の系統的な高度専門教育の充実が必要です。広島国際大学で行われるがん医療における放射線治療の品質管理高度専門教育セミナーは、さまざまな法律に準拠しつつ、その高度専門教育の一端を担うものであり、専門能力の開発が期待でき、国民の福祉と社会に貢献していくものと考えます。

最終更新日:2013年8月19日