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シリーズコラム『(医療)福祉は、例えるとブラックホールのようなもの?』

② 相談援助職って、どんな仕事をするんですか?(その1)

 

 このシリーズでは 相談援助職の一つである医療福祉職(医療ソーシャルワーカー)を例にとって、「どのような仕事をするのか」という疑問にお答えしたいと思います。

 

 例えば、仕事をしている人が病気になってしまい、入院しなければならなくなった場合を考えてみてください。

 その方はそもそも勤めている人ですから、月々、会社から給料をもらって(家族ともども)生活をしていますが、入院することになるとどうなるでしょうか?入院中はもちろん働くことはできませんので、その間、労働の対価として給料をもらうことはできなくなりますね。

 それまで十分に貯えをされている方であれば、大きな問題は起こらないと思いますが、ローンや家賃の支払い、子どもの教育費の支払い、もちろん、入院中の医療費の支払いもしなければなりません。家族の生活費が気になるといった場合、経済的な問題、悩み、不安が待ったなしに襲ってきます。

 入院中は会社を休むことになりますので、入院する前に取り組んでいた仕事を他の人にお願いすることになりますね。当然、代わりに担当することになった方たちの負担は大きくなりますので、場合によっては「(入院している)自分は全く異なった部署に配置転換させられるんでは…」といったことも考えて、不安な入院生活を送ることにもなるかもしれません。 

 ちなみに、皆さんもいろいろな不安や悩み、心配事を抱えた時に”眠れない”とか“食欲がなくなる”といった経験をしたことはありませんか?また、強いストレスがかかって胃潰瘍になる、といったことも耳にしたことがあると思います。このように、人は“こころとからだが一体”で、影響しあっていると言われています。何らかの症状を抑えるため、処方された薬を飲む場合も治療を受ける場合も、医師に対する信頼の有無によって、薬を飲むといったことを指示通りに行う気持ちが薄れたりすると思います。教員と学生との関係も同様で、教員に対する信頼がなければ、いくら真剣に言ったところで言われた言葉がこころに残らないのと同じです。患者さん自身が治療に対してしっかりと向き合うことができる”こころ“の状態を保つことができれば、医師・看護師が立てた治療計画・看護計画通りに進めることができることが考えられるでしょう。

 

 医療福祉職(相談援助職)は「こころと社会経済的な状況とは背中合わせ」と考えていますので、入院された患者さんが社会生活を送る上での悩みや経済的な心配を抱えているとすれば、先ずは社会保障制度や福祉サービスを活用することで、問題の解決を図ろうと考えます。

 また、社会生活上の悩みや経済的な不安・心配を抱えていては、しっかりと治療を受ける“こころ”のゆとりもなくなりますし、焦って退院しようとしてしまうかもしれません。前述しましたように、体と心は一体ですので、このような焦りやいらだち、不安なども合わせて解消するようにしなければ、治療効果を損なうことにもなりかねません。

 そこで医療福祉職は、患者さんと患者さんを取り巻く社会・経済的な状況との関わりから生じる悩みや不安、いらだち、焦りはもとより、病気に対する不安、治療に対する抵抗など、様々なこころの動きに対して関わらせていただき、ご自身の力でこころの状態を整えることができ、主体的に治療に臨むことができるようにサポートをすることになります。

 もちろん、家族の一員が病気になって通院あるいは入院することになると、普通は患者さんが抱える問題と同じような様々な問題を家族も抱えますので、医療福祉職としては、患者さんだけではなく家族の福祉をも高めるために関わることになります。家族が落ち着くと、患者さんとの関係も改善されますので、その結果、患者さんは積極的に治療に向かうことができるようになります。

 このように、医療福祉職は、病気になることで患者さんやご家族が抱える“こころ”の問題、“社会経済的”な問題を、それぞれが自らの力で解決できるように寄り添っていくことが、医療福祉専門職の大きな役割です。

 もちろん、寄り添うだけではなく、患者さんやご家族の持っている力を引き出すためには、専門的な援助技術や知識を活用することは不可欠です。しかし、やはり目の前におられる方自身が、問題に立ち向かっていく力を持っていることを信じられなければ、寄り添い続けることはできません。信じたうえで、どのような力をどの程度持っておられるかについて、専門家として評価(アセスメントと言います)をしっかりとおこない、その方の力に応じて必要最小限のサポートをします。それは、患者さんやご家族が専門職に依存的になってしまわず、しっかりと自己実現を果たしてくださることが、“福祉をもたらす”ことであると考えるからです。

 

 今回は、患者さん・ご家族に対して行う直接的な役割について、お話をしました。実はもう一つ、医療福祉職として重要な役割があります。それは、患者さんご自身のことと患者さんを取り巻く“環境”について、その方たちに関わる医師・看護師等の多専門職に十分に知っていただいた上で、治療計画、看護計画などを作成していただくというものです。

 次回は、そのことについて説明をさせていただきたいと思います。

 

医療福祉学部長 吉川 眞

最終更新日:2014年10月10日