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第12回2015.04.06更新

私の文章論

文章を書く機会が多い大学

 大学生になると文章を書く機会が増えます。適当に書いてしまえばいいや、なんて思っていると大変な目に遭います。毎回の授業のコメントペーパーやレポートなど成績の評価に直結する文章が多くなるため油断は禁物です。

 医療福祉学科であれば、多くの学生は実習に行きます。実習のために、個人票(履歴書)や実習計画書を書かねばならず、毎日の実習日誌も一苦労です。

 ただ、突然、文章を上手く書こうとしても難しく、結局は日々の積み重ねです。毎日の授業を大切にし、きちんとノートをとり、コメントペーパーやレポートなどの課題に真摯に取り組むことで文章力は自ずと身についていくものです。

田野 慎二 准教授

医療福祉学部 医療福祉学科

私の授業では

 私は、講義の最後に200字のテーマ作文を課しています。一つのテーマを学生に投げかけて、10分程度で全員が同じテーマで作文します。

 最初の授業で課題の説明をすると、多くの学生が「えっ」とざわつきます。面倒な授業を受講してしまったと思うのでしょう。でも、有無を言わせず書いてもらいます。

 文章を上達させるためには、書きっぱなしにしていては意味がありません。私は、次の時間には、提出された文章の中から20編程度選んで「傑作選」を作成し、学生が読む時間を必ず設けています。

 学生は、自分が思いもしなかった材料や切り込み方で書かれた多彩な文章に触れ、大いに刺激を受けているようです。こんな感想が寄せられました。

  ・文を書くことは楽しいことなんだと教えてくれました。

  ・毎回の200字の課題で自分の文章能力を確認できた。

  ・書けば書くほどいろんなことが思いつくようになり、文章を書くことが好きになった。

 最初は、どのように書いていいのか戸惑っていた学生も少しずつ上手になります。今度は取り上げられるように気合いを入れて書く学生もいるようです。

良い文章を書くためには

 良い文章の定義は、いろいろあるでしょうが、授業では「自分にしか書けないことをだれが読んでも分かるように書いた文章」(『高校生のための文章読本』筑摩書房1986年)を目指そうと話しています。「文章はかく種さへあれば誰でもかけるもの」(夏目漱石鈴木三重吉宛書簡 明治38・11・10)であり、そのためには、材料を集めることが大切です

 書く材料を集めるためには、たとえば、よく観察することが大切です。普段は気にもとめていなかったものでも、じっくり観察することで、新しい一面が見えてくるかもしれません。

 最近は、インターネットを経由して情報を集めることも多いでしょうが、本や雑誌、新聞などから材料を集めることも必要です。インターネットは便利な道具ですが、もっと人間の眼の力を信じていいような気がします。

 友達や教職員など大学での出会いも 大切です。何気ない会話や真剣な対話から新しい発想が得られることも少なくありません。

 

おわりに

 大学は、自分の書いた文章で評価されることが多く、それはプレッシャーのかかることではありますが、逆に、文章を上達させるには得がたい環境であるとも言えます。

 学生のユニークな文章に助けられながら、私の授業で、一人でも多くの学生が、文章を書くのが好きになってもらえたらいいなと考えています。

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