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第2回2012.10.15更新

東日本大震災で被災した子どもたちを支援するために
 

東日本大震災で被災した子どもたちを支援するために

昨年3月11日、東日本は未曾有の大震災に見舞われました。その後、復興の手助けにとさまざまなチャリティ活動が、国内はもちろん、世界中で繰り広げられています。私も微力ながらお役に立てたらと、「チャリティコンサート」を開催することにしました。1年目、2年目はチャリティ活動も多いでしょうが、次第に少なくなっていくかも知れないという思いから、まずは10年続けることとしました。
 広島国際大学に勤め始めてから14年間、演奏活動からは身を引き、一度も「リサイタル」を開いていませんでしたので、正直なところ大きな不安はありましたが、この機会を逃すと演奏からさらに遠のいてしまうと思い、一大決心をしました。チャリティーコンサートの収益は、「全国児童発達支援協議会(CDS-JAPAN)」を通じて募金することになりました。

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小坂 哲也

医療福祉学部医療福祉学科 教授

エリザベト音楽大学卒業後は、演奏家を目指し、ウィーン、ブリュッセルへ留学しましたが、あるとき、「音楽はもっと身近にあるべきものである」ということに目覚め、音楽療法の道を歩むようになりました。以来、「知足常楽」をモットーに音楽を道具として使えるよう日々努力しています。

障害のある子どもたちに生の演奏を

「チャリティコンサート」を開催するにあたり、以前からやりたかったことにチャレンジすることにしました。それは、障害のある子どもたちに生演奏を聴いてもらう機会を作るということです。今までにも療育センターや福祉施設で演奏する機会はありました。生演奏を聴くということに関しては、どのような環境で聴いても同じだと思うのですが、演奏会場に出かけていくという行為を伴うことで、日頃生活をしている場所以外で生演奏を聴くということに意義があると感じているからです。環境が変わることによる緊張感、当然のことですが、演奏会場に行く道中も含め、会場の雰囲気はもちろん、周りにいる人や聞こえてくる音など、すべてが新鮮なものとして感じられると思います。そうした環境のなかで、演奏家はタキシードやドレスを着てステージに上がり演奏をします。子どもたちにとっては大きな刺激になることは間違いないと思います。
 親御さんからたくさんお話を伺うことができました。「いつもはじっとして音楽を聴くことができないのに、今日は最後まで椅子に座って聴いていた」、「ずっと指揮をしていた」、「音楽に合わせて身体を動かしていた」など、興味深いお話を聞くことができました。特に印象的だったのは、日中ほとんど眠ることがなく、夜もなかなか寝付けないお子さんの話です。2曲目あたりで欠伸をしたので、お母さんが尋ねたところ、「音楽を聴いていたら気持ち良くて眠くなった」と返答があり、本当に驚かれたそうです。お子さんからはお礼のお手紙をいただきました。

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公開リハーサルでは障がいのある子供たちに演奏を聴いてもらいました

みんなが楽しめる空間に

「子どものための演奏会」も 以前に比べると数多く開かれているようですが、声を出したり動き回ると迷惑がられるので、なかなか演奏会に連れて行くことができないという声をよく耳にします。音楽に合わせて自己表出することは、決して悪いことではないのですが、周りの人たちのことを考えると、子どもたちを叱ったり、抑えることもできません。だからこそ、子どもたちが自由に自己表出できるような演奏会を続けて行けたらと思います。
昨年、「公開リハーサル」(入場無料)という形で始めましたが、おかげさまで評判も良く、今年は「チャリティコンサート」だけでなく、「公開リハーサル」も聴いたという一般のお客さんも数多くいらっしゃいました。子どもさんが音楽を楽しんでいる状況を共有していただけて嬉しく思います。「チャリティコンサート」を続ける限りは、「公開リハーサル」も必ずやりたいと思います。 

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当日はたくさんの皆様にご来場いただきました

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