2016年08月09日

台湾の現状からよりよい介護を考える講演会を開催~医療福祉学部~

7月19日、東広島キャンパスで医療福祉学部の学生を対象に、
「台湾の高齢者福祉制度と介護政策の現状について」の講演会を開催しました。
日本の大学で教鞭を取った経験を持ち、台湾と日本の福祉に詳しい、
中台科技大学の徐明仿・助理教授(台湾)を講師に招き、
台湾の福祉・介護をめぐる現状と両国の抱える課題について学びました。

「現状を知ることが大切」と徐・助理教授

かつての台湾の介護現場は劣悪な環境で、
人員配置基準の低さからくる慢性的な人材不足に加え、
高齢者の命を守るためなら、身体拘束といった手段を選ばない対応が横行するなど、
人権尊重にはほど遠い状況でした。

背景には、台湾の文化や歴史が介護に対する考え方に大きく影響していると、
徐・助理教授は指摘。
家族の絆を大切にしようとする台湾では、
介護は家族が行うものという考え方が根強く残っており、
専門職による介護は必要最低限でよいと見られてきました。
すでに他国にも類を見ない速さで高齢社会に突入した日本と、
今後、日本を上回るスピードで高齢化が加速すると予想されている台湾。
患者の自己決定を尊重し、専門職がチームとなって介護にあたる福祉先進国の北欧とは異なり、
台湾も日本も家族での支えに限界が生じており、問題は深刻化しています。

徐・助理教授は、
「家族にとって負担の少ない介護を目指して、
状況の似た両国が共に考えていく必要がある」
と、連携の重要性を強調しました。

広報室