2013年10月07日

三宅研究室~田山剛崇講師の研究内容~

私の所属する三宅研究室のスタッフは、
三宅勝志教授、木村幸司准教授、胡田順子助教、橋本佳奈助教と私の5名で運営をしております。
各スタッフとも、それぞれ興味深い研究に励んでいます。
本稿では、私の行っている研究について紹介いたします。

 

私は、大学院卒業後、病院薬剤師として5年間勤務をしました。
その経験を活かし、また、近隣の保険薬局の薬剤師や病院薬剤師と協力しながら、
“臨床に関わる薬剤師が困った”と感じたことを研究しています。

 

(1) 坐剤分割に関する研究

 

子どもが坐剤を使用する場合、分割する必要がありますが、
坐剤を分割する際、患者の保護者は分割位置や方法に関する情報を十分に得ていないことから、
不安を抱きながら試行錯誤的に坐剤の分割を行っています。
そこで、坐剤を正確に分割する器具(スケール 図1)を作成しました。
そして、このスケールの実用化に向けて、子どもの保護者を対象に調査をおこなってみました。

 

各要求分割重量に対して保護者が坐剤分割を行った場合、スケールの使用により、
1/4、1/2、3/4個のいずれの分割要求に対しても、正確に分割を行えました(図2, P < 0.05)。
同時に、一定の位置を分割できるようになりました。
これらのことから、坐剤を正確に分割するために、坐剤分割スケールは有用なものであると考えています。
現在、スケールが普及するための準備を進めています。

 

 
↑ 図1 坐剤分割スケール                    ↑ 図2 坐剤分割スケールによる分割誤差の減少

 

田山剛崇 et.al. 日本病院薬剤師会雑誌 43(2): 191-194, 2007.

田山剛崇 et.al. 医療薬学 32(11): 1100-1104, 2006.

田山剛崇 et.al. 日本病院薬剤師会雑誌 41(8): 983-987, 2005.

 

(2) 軟膏の配合変化に関する研究

 

皮膚科領域の薬物療法において、複数の軟膏剤を混合するケースがあります。
その際、軟膏の配合変化の有無について注意が必要となります。
これまで、軟膏に含まれる主薬や基剤の配合変化について、多くの研究がなされていますが、
添加剤および保存剤による影響についてはあまり研究されていません。
実際の医療現場において伝染性膿痂疹(通称とびひ)の薬物治療に汎用されるテトラサイクリン軟膏と
ニューキノロン系抗菌剤であるナジフロキサシン軟膏を混合した際に色彩変化が観察されたケースの報告を受けて、
混合時におけるテトラサイクリンの安定性について調べてみました。
加えて、抗菌作用の変化も調べてみました。

 

 
↑ 図3 テトラサイクリンとナジフロキサシン軟膏軟膏    ↑ 図4 軟膏中に含有される主薬量の経時変化
混合による色彩変化

 

軟膏混合後24時間より、黄色からタール色への変色が観察され始め、
混合288時間後においてテトラサイクリン含量はおよそ40%まで低下しました(図3、4)。
また、データは載せていませんが、抗菌活性の低下も観察されました。

 

テトラサイクリンとナフロキサシン軟膏との相互作用は、
ナジフロキサシン軟膏に添加されている水酸化ナトリウムがテトラサイクリンの安定性に影響を与えていました。
その結果、軟膏剤の抗菌作用が低下しました。
軟膏剤を混合する際も、液剤や散剤などと同様に、添加物に注意をして調剤を行う必要があります。
現在、ナジフロキサシン軟膏と他の軟膏についての配合変化について調べています。

 

川本庸太, 田山剛崇 et.al.

YAKUGAKU ZASSHI 128(8): 1221-1226, 2008.

 

(3) 散剤分包時の重量誤差に及ぼす電荷の影響

 

散剤は秤量後、自動分包機等にて、1回服用量ごとに分割する過程を経て調剤されます。
その際、静電気によって重量誤差が生じる場合があります。
そこで、散剤分包時の重量誤差の要因と考えられる静電気の影響を明らかにする目的で、
I. 散剤の帯電量と分包機に付着する散剤量の関係、II. 散剤自体が保持している帯電量を測定してみました。

 

その結果、帯電量が分包機への医薬品の付着量に影響を及ぼすこと、
医薬品自体も帯電を起こしやすい製品が存在することが明らかとなりました。
しかし、帯電量は気象条件により大きく異なることが知られているため、
様々な環境下における帯電量の検討を行っていく必要性を感じています。
また、帯電しやすい条件下では、重量誤差が発生しやすいと考えられるため、
各医薬品の帯電度のデータを構築する必要性も感じています。

 

薬学科 講師 田山剛崇

ヒロコク役立つ・研究ブログでは、本学教員の研究活動による、発明や研究成果をブログ形式で定期的に発信していきます。