アスリートの結果を左右する。
胎児期~幼小児期の低栄養を防いで生活習慣を予防する。
食と栄養のスペシャリストに、できることはたくさんある。

教授 辻本 洋子
修士(学術)、管理栄養士、健康運動指導士、介護支援専門員
専門分野:公衆栄養学

健康づくりの3本柱は「栄養・運動・休養」であり、それらがうまく統合して健康増進につながります。管理栄養士をめざす医療栄養学部は、栄養はもちろん、生化学・医学の知識も学ぶことが特徴。社会に出れば、食のスペシャリストとして、さまざまなアプローチで活躍の場を広げている分野でもあります。

私は、野球部の選手のパフォーマンス力の向上について研究しています。野球の特性である、「打つ」・「投げる」・「捕る」・「走る」力を最大限に発揮できるにはどのような栄養学的対策が必要なのかを調査・研究しています。具体的には、体組成計を使った筋肉のバランスと体の状態を確認します。そして欠かせないのが、食事と栄養の補給状況の把握です。調理実習の講義も取り入れながら、選手が自分たちで朝食を作り、個々にあった栄養素を選択する力も養うことができるようになりました。また、筋肉を補強するという意味では、スポーツしたあとすぐ、できれば30分以内にエネルギーやたんぱく質、ビタミンなどを補給することが重要であることも選手たちは認識できるようになりました。このような実践的なアプローチの栄養指導は、スポーツの世界でますます必要になってくるでしょう。症例に合わせたマネジメントとなれば、本学で行っている他学部生と共に学ぶ
専門職連携教育(IPE)
が役立つことも間違いありません。

ph01

もうひとつの研究テーマに、いま注目されている「DOHaD説」をふまえた母子の健康増進があります。DOHaD説とは、「成人病胎児期発症起源説」のこと。お腹にいる間、十分な栄養を摂取できなかった赤ちゃんは、出生後の体質に、生活習慣病を発症するリスクを持っているという理論です。最近の妊婦さんは痩せ願望が強く、妊娠中の体重増加さえも苦にする傾向がみられます。体重増加が少ないと低出生体重児(2500g未満)になる傾向がみられ、小さく産まれた赤ちゃんはお腹の中で飢餓状態にあったといえます。低栄養に慣れた環境から産まれてくるので、大きく育てようとミルクなどをたくさん与えると、必要以上に栄養素を摂取することになり、インスリンを大量に使ってしまう。これが糖尿病や生活習慣病につながるというわけです。現在、保健センターや医療機関でアンケート調査を行いながら研究を進め、低出生体重児の予防や妊婦の方の食事法を考察しています。

食べる意欲は、生きる力につながります。「食」は健康で過ごすための基盤となります。管理栄養士は、医療現場をはじめアスリートの栄養管理や食品開発など多分野に活躍の場を広げており、時代を見据えた食のエキスパートとしての活躍が今後、期待されています。

ph02