1. 受験生の方
  2. 在学生の方
  3. 卒業生の方
  4. 保護者の方
  5. 採用担当の方
  6. 教職員募集
資料請求 大学見学

その他

第2章 放射線の利用

放射線とラジオアイソトープの利用方法はきわめて多岐にわたっていますが、トレーサ利用と照射利用の2つに大別されます。

 

トレーサ利用

物質中にわずかのラジオアイソトープを混ぜ、それから出る放射線を測定器で追跡して物質中での挙動を知る方法をトレーサ(追跡子)法といいます。その際、物質の物理的挙動を知る目的で単に混合する場合を物理的トレーサといいます。また、その物質と同一の化学的挙動を行わせるために、物質分子の一部をラジオアイソトープ原子で置換したもの(標識化合物)を混合する場合を化学的トレーサといいます。特に最近、化学的トレーサは生化学・遺伝子工学・医学研究や新薬開発などに大いに利用されています。

照射利用

加速器あるいはラジオアイソトープから出る放射線を照射の目的で利用するとき、照射される物質中で、(1)化学変化が起こらない場合、(2)化学変化が起こる場合、(3)原子核反応が起こる場合の3つに大別されます。

 

表2.1に示すように、(1)の例は放射線の透過・吸収・散乱の現象を利用するX線による診断、ラジオグラフィ、厚さ計などによる工業計測などがあります。さらに、電離・励起の現象を利用する煙感知器や夜光塗料の発光、蛍光X線分析なども含まれます。

(2)の例は、60Coや137Csの大線源を用いたプラスチックなどの高分子化合物の改質、医療器具の滅菌処理などがあります。さらに、電子リニアックからの電子線や高エネルギーX線を用いた癌の放射線治療なども注目されています。

(3)の例としては、原子炉からの中性子を用いた放射化分析法による微量元素の分析などがあります。

その他、特殊な利用法として、14Cを用いた考古学的試料の年代測定、熱源利用としてのアイソトープ電池などがあります。

 

表2.1 放射線と物質の相互作用とその利用

相互作用利用方法利用例(方法、製品)
透過、吸収、散乱 計測制御 厚さ計、液面計、レベル計
非破壊検査 γ(X)線のラジオグラフィ
診断 X線撮影、X線透視、X線CT
電離、励起 イオン発生 煙感知器、蛍光灯のグロー放電管
光の発生 自発光塗料
分析 蛍光X線分析、硫黄計
化学的作用 改質 耐熱性電線、強化プラスチック、強化木材
生物学的作用 殺菌、殺虫、防虫 医療器具の滅菌、検査用具・食品の殺菌、害虫防除
保存 発芽防止、熟度調節
育種 品種改良、生育調節
治療 癌の治療、甲状腺治療、重粒子線癌治療
原子核反応 分析、治療 微量元素分析、脳腫瘍治療

 

放射線被ばくの話 ページ一覧

 第1章 放射線、放射能(放射性物質)
 第2章 放射線の利用
 第3章 放射線の防護方法
 第4章 自然放射線被ばくと人工放射線被ばく
 第5章 医療放射線被ばく(外部被ばくおよび内部被ばく)
 第6章 放射線障害(確定的影響および確率的影響)
 第7章 胎児期の影響
 第8章 放射線の測定
 第9章 Q & A

最終更新日:2011年11月16日