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第6章 放射線障害(確定的影響および確率的影響)

放射線を利用して腫瘍などを治療する方法があるように、放射線には人体を構成する細胞の活動を妨げる働きがあります。放射線が体に当たることを被ばくと言いますが、被ばくにも仕方にもいろいろあります。


短時間に高い線量の放射線に被ばくした場合、皮膚や消化管の粘膜、血球を作る骨髄や全身の知覚神経と運動神経の伝導路である脊髄に障害が現れることがあり、これを急性被ばくと言います。これらの組織では細胞分裂が盛んなため放射線の影響を受けやすいとされています。脊髄は例外的に一過性の放射線脊髄炎により排尿・排便機能や運動機能が障害されます。図6.1のように臓器・組織ごとに症状が出現する線量が決まっており、この線量までは問題ないが、この線量を超えると症状が出現することから“しきい値”と言います。表示されている線量より多い被ばくでは必ず症状が出現するため確定的影響と言います。


このタイプの放射線障害は、細胞内で放射線と細胞内の水分子が反応し、ラジカルと呼ばれる他の分子構造を破壊する性質の物質ができます。このラジカルが遺伝子であるDNAを破壊します。通常であればDNAは一部分が壊れても自己修復が可能ですが、しきい値以上の線量で被ばくすると自己修復が追いつかなくなり、細胞や臓器の機能が低下し放射線障害としての症状が現れます。

 

確定的影響のしきい線量(広島国際大学)

 

 

一方、急性障害とは異なり、被ばくしてから数年、数十年たってから現れる障害もあります。放射線による癌や白血病などの悪性腫瘍や遺伝病などの発生です。急性被ばくによる障害が現れるような高い線量でなくても、長い期間に慢性的に被ばくし、累積した線量に応じて病気になる確率が増えていくため確率的影響と呼ばれます。

 

悪性腫瘍や遺伝病などは被ばくしなくても一定の割合で発病する可能性があるため、被ばくの影響は図6.2のように、病気が自然発生する確率に被ばくによって発症する確率を足しあわせて表されます。ちなみに低線量の被ばくが体によい作用をもたらすというホルミシスという考え方もありますが、いまだ明確な答えは得られていません。

 

確定的影響も確率的影響(広島国際大学)

 

放射線被ばくによる確定的影響も確率的影響も、被ばく線量が多くなればなるほど病気になることには違いがありませんが、病気の種類や発病の仕方が異なるところに注意してください。

 

放射線被ばくの話 ページ一覧

 第1章 放射線、放射能(放射性物質)
 第2章 放射線の利用
 第3章 放射線の防護方法
 第4章 自然放射線被ばくと人工放射線被ばく
 第5章 医療放射線被ばく(外部被ばくおよび内部被ばく)
 第6章 放射線障害(確定的影響および確率的影響)
 第7章 胎児期の影響
 第8章 放射線の測定
 第9章 Q & A

最終更新日:2012年1月13日