薬学部進学を志すみなさんへ

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  • 薬学部進学を志すみなさんへ Vol.2 ―学部の実像 ―
「薬剤師になりたいと考えているけれど、ついていけるかどうか、国家試験をクリアできるかどうか」と不安な声が届きました。本学では、入学前のスクーリングや合宿をおこない、生物や数学、物理、化学などの基礎学力の確認や補習もおこなっていることやサポートプログラムがあることは、本ページVol.1で紹介しています。今回は、かつて似たような思いを抱きながら本学に入学し、ハードな日々を自らに課して、ストレートで進級。2016年春、薬剤師としての一歩を歩み始めた卒業生、清藤智子さん(写真)の姿を通して、その不安に応えます。

球磨商業高校出身、薬学部入学。

清藤さんは、中学時代、「OC(オープンキャンパス)に行ってみたら良かったし、高校を出たら働こうかな」と、球磨商業高校国際教養学科を選択。2才年下の妹は、看護科へ。母も看護師であったことから、医療の世界が身近にありました。高校2年の終わり、担任の先生に「君は、看護師よりも薬剤師が向いているのでは?」と言われ、次第に薬学へ。先生と同じような反応を示した母親の存在もあって、薬学部を目指し始めます。実家は、熊本。九州の大学で開催されるOCに行くものの、「どうも違う」。九州から出ることを考えて、広国のOCに参加。医療系のさまざまな学科がそろっていることや、先生との距離が近くなんでも相談できそうな空気が、志願の決め手となったそう。成績も問題なかったことから、無事、入学の切符を手に入れます。

「理解力」には、二通りある。

商業高校時代、物理、化学、生物にまったく触れていなかった清藤さんは、入学をしたものの、理解ができず、苦しみます。普通科から入学してきた同級生は、基礎ができているから勉強の効率も違う。さらに、高校時代に求められた理解力は、「暗記した知識量を指す理解」であり、同級生にあって自分にないものは、「知識をつなげていく理解力」だと気が付きます。ただちに、薬学部で通年開講している「基礎講座」を受講。なかでも苦手なのが、物理でした。まずは、苦手と思わないように自己暗示をかけます。学年ごとに授業の開始時間が異なってはいましたが、いつも授業開始の1時間前から自習。わからないことは、先生や友達に積極的に尋ねました。清藤さん、「それが、いつのまにかふたつの理解ができるようになっていったんです」。
「進級テストも辛かった」と清藤さんは振り返ります。本番の試験には準備が間に合わず、再試を受けることもしばしばでした。それでも、進級試験をクリアして、次のステップへと進みます。

留年したら、やめなさい。

裕福な家庭ではないにもかかわらず、両親は、薬学部を目指す彼女に、「とりあえず、やってみなさい。失敗したら、したときに考えたらいいよ」と送り出してくれました。清藤さんは、その両親と約束を交わします。それは、「留年したら、やめる」こと。基礎力を補う努力も、あきらめずに再試でクリアしていくこともこの約束があったからできたのかもしれません。6年間で、いくつもハードルを越えて、国家試験をクリアするには、「自分で、ルールを決めてもよい」と清藤さんは言います。彼女の場合は、そのルールが両親との約束でした。
毎日、朝の自習時間を創ったこと。友達やサークルの先輩からたくさん教えてもらい、友達と一緒に教えあえたこと。負担を軽くするために、塾や本屋でのアルバイトを続けたこと。そのすべてを支えたのが、彼女の決めた「ルール」、つまり「約束を守る」という決心だったのですね。

お手本との出会いが、学ぶ楽しさを生んだ。

清藤さんは、5年生、実習を終えたころから、自分で学ぶことが俄然面白く、楽しくなってきたそう。学部では、病院で2か月半、さらに薬局で2か月半の実習をおこなっています。病院実習の際に、彼女は、それまでの辛さを忘れるような出会いをします。 「知識があるのはもちろんですが、人として魅力ある薬剤師さんに会ったんです。患者さんや職員、そして医師の方々からも頼りにされている薬剤師の姿は、衝撃的でした」。 この出会いから、辛い勉強が、一転して、楽しいものに。「いつか、あの薬剤師に近づきたい」。そんな思いが強くなっていくと同時に、自分の中で、はっきりと目標が定まったことを自覚したのです。
現在、清藤さんは、呉市内(広島県)の薬局に勤めています。いまもなお、実習で出会った薬剤師を目標にしているそうです。「まだまだ、ほど遠いんです。好奇心がいっぱいの人で、いつも楽しそうに学んでいる人。わたしは、どこか一定のところで、見切りをつけるようなところがあるので、その分、自分の課題を見つけられるチャンスをなくしているかも。まだ、真似したいところがいっぱいあります」。

国試クリアには、自信がありました。

インタビューの最後に、「国試を受けるときは、自信があったのです。勉強自体が楽しいと思えていたし、5年生くらいから所属していた研究室の先生方によく学会に連れて行ってもらい、発表をさせてもらっていました。こんな経験も、自信につながっていたんじゃないかと思っています」。
入学時、基礎学力にまったく自信をもてなかった彼女が、ご両親との約束に力をもらい、再試を受けながらもストレートで進級。実習先で出会ったお手本を手掛かりとして、勉強を続けることの意義や楽しさを自ら発見していく姿は、不安を拭い去ったのが、彼女自身であり、また、近くにいた人々の存在だったことを教えてくれます。

薬学部卒業生、薬剤師1年生の彼女の姿が、不安を少し和らげてくれることを願います。

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お話を伺った卒業生

  • 清藤智子さん

    清藤智子さん(2016年薬学部卒業)

    オール薬局新栄橋店勤務

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