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- 教育×人 -リレー・エッセイ48- Vol.07 教授 三宅 勝志
文系?理系?そうではなく、
患者さんに最も近い医療人、薬剤師を育てたいのです。
教授 三宅 勝志
博士(薬学)、薬剤師
専門分野:医療薬学
中心には、患者さん。そのための専門職です。
薬剤師としての業務は変革期を迎えています。その中心となっているのが「対物業務」から「対人業務」への転換と言われています。言い換えると「薬物の取扱いを中心した業務」からそれを服用する「患者さんを中心とした」業務への移行といえます。
この患者さんを中心とした医療を支える柱の一つが医療コミュニケーションです。コミュニケーションと聞くと、苦手と感じる方も多いかと思います。もちろん「空気を読みながら、他の人とつながっていく」ことも重要ですが、何らかの疾病を持って、不安を抱いている患者さんとのコミュニケーションはそれとは少し異なります。患者さんを相手にする場合は、より良い「話し手」より、より良い「聞き手」になることが大切です。こういった資質がこれから薬学を学ぶために必要であり、求められています。薬学部は、理系の学部といったイメージが一般的に強いのですが、 実際には、人として他者とふれあいながら、他者のために専門性を活かすことができるプロフェショナルを育てています。もちろん、理系分野の知識・見識も必要ですが、これからの薬剤師の業務には文系と言われる要素の必要性が今まで以上に求められています。
教育において、学生の自己肯定感を意識。
年齢を重ねる、あるいは、職階が変わるごとに、過去、教育に関する考えは熟し、変化してきたように思っています。現在、教育者としては、以下のように考えています。
まず、教員の自己満足に学生をつきあわさないことです。教員の目指す「教育ゴール」は異なると考えていますが、これぐらいは「常識」といった部分の価値観を押しつけないように注意しています。自身の目標達成のために、学生に多大な「負荷」をかけないように注意しています。特に学生の基礎力に大きな差がある場合では、どこに焦点を置くかは難しいのですが、薬学部においては「国家試験」をある程度の基本としています。
また、学生の自己肯定感(自尊感情)を意識しています。ほめて育てることが、単純に自己肯定感につながるとは考えていませんが、ある程度の達成感を与えることが、重要だと思います。どのような形でこの達成感を持てるかは、教員がそれぞれに工夫する点だと思います。試験を易しくすることが、この達成感につながるとは考えていませんが、私自身、どのようにすれば良いかの解答は、まだ、得ていません。模索中です。
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