2020年3月

静岡県立大学(鈴木隆、高橋忠伸、南 彰、紅林佑希)と広島国際大学薬学部(池田潔、大坪忠宗)の共同研究の成果が、Scientific Reportsに掲載決定されました。

本研究の主な研究成果は次の通りです。

1)本学が開発した糖鎖分解酵素シアリダーゼの働きを検出できる高感度イメージングプローブ(HB3-Neu5Ac)を用いてマウスの膵臓を染色することによりインスリン分泌に関わる膵臓のランゲルハンス島を可視化することに成功しました。

2)本学が合成したシアリダーゼ阻害剤 (DANA) を用いてマウスのインスリン分泌に与える影響を調べた結果、ブドウ糖の刺激によるインスリン放出がDANAによって促進されることを見出しました。興味深いことに低血糖の条件ではDANAによってインスリン放出が促進されず、DANAが血糖値に依存してインスリン分泌を促進することを明らかにしました。

従来のインスリン分泌を促進させる糖尿病治療薬は、低血糖の副作用を引き起こすことがあります。我々の研究結果は、DANAが従来とは異なる作用機序をもった安全な糖尿病治療薬として利用できる可能性を示唆しています。