リハビリテーション学科

言語聴覚療法学専攻

教員紹介


武内 和弘(たけうち かずひろ)  専攻主任、教授
学位・資格 歯学博士
専門分野 言語聴覚障害学
キーワード 言語聴覚療法,臨床音声学,構音障害
研究テーマ 1) 小児の構音障害のスピーチ・セラピー 構音障碍児の聴覚系能力を改善するための技法の研究
2) 舌圧測定器の臨床応用 広島で開発された舌圧測定器の患者への応用についての研究
3) 言語聴覚障害患者の地域リハビリーション 脳血管障害後遺症である言語聴覚障害者の退院後のケアについての実践的研究
研究紹介 研究実績一覧

自己紹介

言語聴覚士(1999年第1回言語聴覚士国歌試験合格)。岡山市浦安出身,現在は広島市佐伯区在住。1970年岡山大学法文学部文学科(言語学専攻)卒,中学校1級普通及び高等学校2級普通教諭免許状取得(国語)。卒業論文は韓国語の助詞に関する研究。1996年文部大臣認定日本語教育能力検定試験(日本語教師)合格。
大学卒業後,社会福祉法人旭川荘重症心身障害児施設旭川児童院(岡山市)で言語訓練士として療育に4年間従事。1974年より広島大学歯学部附属病院で言語治療士として口蓋裂児のスピーチ・セラピーを担当。1994年からは広島県立保健福祉短期大学(県立広島保健福祉大学を経て,後に県立広島大学に改組)で教員として言語聴覚士の養成に当たる。
専門は,臨床音声学,発声発語系障害学と言語聴覚障害者に対する地域リハビリーション。口蓋裂言語の言語療法,失語症者の在宅リハビリテーション,嚥下障害の臨床や研究に取り組み,長年「からだとことばのレッスン」広島会場の運営にも携わってきた。
趣味は,花を訪ねて国内・海外旅行。中国四川省,モンゴル高原,東南アジア各地からエジプトやスイス,ギリシャ,トルコ,イスラエル,南ア連邦やペルーのマチュピチュなどを30数カ国を訪問。

教育方針

ヒトの言語能力の不思議さを追及し,コミュニケーションの大切さと限界を認識した上で,言語聴覚障害や摂食・嚥下障害に苦しむ人々やその周囲の関係者を,真に支えることのできる言語聴覚士になってほしいと願っている。
そのために,音声・言語・聴覚の分野はもとより医学・歯学,教育・保育・療育,心理,保健福祉,医療工学など幅広い関連知識と応用能力を修得し,障害に苦しんでいるクライエントを的確に支援できる実践力を身に付け,皆から信頼される優秀な言語聴覚士を養成したいと考えている。

担当授業科目

  • 音声学
    日本語音声を記述するために必須の国際音声記号(IPA)を修得し,日本語の発音や音韻の知識を身に付け,患者さんの手本となる正しい日本語が使えるようになることを目指します(1年次)。
  • 言語聴覚障害学概論Ⅰ(分担)
    言語聴覚士として臨床業務を管理運営する上で必要となる事項をオムニバス形式で講義します。言語聴覚士の歴史,言語聴覚士法の定義や業務範囲についての法的根拠,病院や施設内でのリスクマネジメントなどについて講義します(1年次)。
  • 言語聴覚障害概論Ⅱ(分担)
    言語聴覚障害と嚥下障害の類型及びその鑑別診断,言語聴覚療法の一連の流れについてオムニバス形式で講義します。主担当は,序論と発声発語系障害学分野です(2年次)。
  • 発声発語系障害学概論Ⅰ・Ⅱ,同演習
    発声発語系障害学について,スクリーニング,生育歴調査,構音・音声検査,発声発語器官検査,構音類似運動検査,関連する心理検査などの実施法と検査結果の評価法,指導方針と訓練計画の立案・作成について,講義および演習形式で学びます。指導用教材・教具の製作と応用,指導記録や臨床経過の報告書の作成についても具体的に教授します(2,3年次)。
  • 言語聴覚特別講義Ⅰ・Ⅱ
    言語聴覚障害(嚥下障害を含む)の最新の研究成果について学ぶ一方で,これまで学修してきた関連知識について国家試験の過去問題や類題・発展問題を用いながら言語聴覚障害学の総復習と総仕上げを行います。

その他,言語聴覚学演習,専門職連携教育,臨床研究Ⅰ・Ⅱ,臨床実習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ,卒業研究も分担して担当しています。

チュートリアル

入学直後から,チューター(担任)の指導の下に少人数(6~9名)のグループに分かれて,大学での学び方や充実した学生生活の過ごし方について指導を行ないます。これをチュートリアルと呼びます。各自の関心の深いテーマについて図書館やインターネットで関連情報を収集・分析し,考え,皆で討論し,協力してまとめます。チューターは,過程に応じてそれぞれ適切なアドバイスや指導を行います。武内班では,これまでに「管理栄養士の仕事」,「新セラピスト」,「チーム・アプローチ」のテーマに取り組みした。

また,チューターは,学生生活の様々な悩みの相談にも応じ,成績不良者に対しては,厳しく勉学の督励や指導も行います。

ゼミ

3年次からは,各自の関心の深い研究テーマに従って担当教員1人あたり5~7名程度のゼミに分かれます。担当教員の指導のもとで4年次の本格的な卒業研究に向けて準備学習を開始します。
研究テーマの設定の仕方,文献検索の方法,研究の倫理申請,データの集め方と分析方法,さらに論文の構成と執筆要領,発表スライドの作成,発表原稿の用意など,研究の一連の流れを実践的に学修します。
4年次になると,12月初旬の卒業研究発表会に向けて,本格的にデータを集め研究を進めていきます。そして発表会での指摘や気付きを参考に,原稿を何度も修正し推敲して卒業論文を書き上げます。完成した論文は,卒業論文集として刊行します。
さらに,ゼミでは,定期試験はもちろん模擬試験,卒業試験,そして本番の国家試験に向けて,それぞれお互いに教え合い,助け合って専門知識の理解を深め,知識不足を補い合います。
もちろん,勉学や国試対策ばかりでなく,コンパや誕生パーティー,時にはピクニックなどの楽しいイベントも企画します。
ちなみに,言語聴覚士の国家試験は,例年2月中旬に行なわれ,受験地には広島会場(広島市西区)が含まれてきました。

学歴

昭和45年 3月 岡山大学法文学部文学科言語国語国文学専攻課程(言語学専攻)卒業
昭和45年 3月 中学校教諭1級普通免許状取得(国語,岡山県教育委員会,昭44中1普第764号)
昭和45年 3月 高等学校教諭2級普通免許状取得(国語,岡山県教育委員会,昭44高2普第712号)
昭和61年 5月 歯学博士学位授与(広島大学)(乙第1444号)
平成 8年 3月 文部大臣認定日本語教育能力検定試験合格(財団法人日本国際教育協会,第951111107号)
平成11年 5月 言語聴覚士免許取得(第1253号)

 略歴

昭和45年 4月 重症心身障害児施設旭川児童院・言語訓練士
昭和48年 4月 広島大学歯学部附属病院・言語治療士・広島鉄道病院・言語療法士兼務
昭和53年 4月 アメリカ合衆国VA医療センター聴覚言語障害部門にて研修
昭和60年 2月 広島市身体障害者更生相談所言語障害専門相談員(非常勤)・広島県立保健福祉短期大学言語療法学科助教授
平成 2年 8月 広島県立保健福祉大学助教授
平成 3年 5月 県立広島大学保健福祉学部助教授
平成 4年 4月 県立広島大学保健福祉学部教授
平成 5年 5月 県立広島大学大学院保健福祉学専攻担当
平成 6年 8月 県立広島大学保健福祉学部コミュニケーション障害学科長
平成23年 4月 広島国際大学総合リハビリテーション学部特任教授,言語聴覚療法学専攻主任

所属学会

  1. 日本音声学会
  2. 日本音声言語医学会
  3. 日本コミュニケーション学会
  4. 日本言語聴覚学会
  5. 日本嚥下障害臨床研究会(世話人)
  6. 子どもの発達支援を考えるSTの会

社会的活動

  1. 日本聴能言語士協会講習会実行委員会口蓋裂・構音障害部会委員及び委員長(元)
  2. 広島県言語聴覚士会会員(監事,2012-2013)
  3. 広島県在宅ケアを考える会の設立と運営(幹事)
  4. 広島市心身障害者総合リハビリテーション機能のあり方調査検討委員会委員(元)
  5. 竹内敏晴「からだとことばのレッスン」広島合宿研修会の運営(元)
  6. 日本音声文化研究会(理事),日本文学名作朗読公演会開催活動
  7. 日本嚥下障害臨床研究会の創立,大会長,同会機関紙編集担当
  8. 広島県言語友の会の創立と県大会等の運営支援(顧問)
  9. 全国失語症者の集い第8回広島大会(1990)実行委員
  10. 言語障害者のピアグループ「もみじ」「竹の会」の創立と定例会等運営支援
  11. その他,言語聴覚障害に関する研究会,講習会やセミナ-講師など多数

主要著書(いずれも共著もしくは分担執筆)

  1. 「口唇・口蓋裂児の言語相談―お母さんのためのQ&A―」,医歯薬出版,1991
  2. 「さまよえる患者をどう捉えるか.歯科心身医学領域の症例集」,デンタル・ダイヤモンド社,1995
  3. 「保健福祉総合研究―21世紀を展望した保健福祉システム」,第一法規出版,1996
  4. 「嚥下障害の臨床―リハビリテーションの考え方と実際―」,医歯薬出版,1998
  5. 「福祉社会事典」,弘文堂,1999
  6. 「アドバンスシリーズ・コミュニケーション障害の臨床6,口蓋裂・構音障害」共同医書出版,2001
  7. 「嚥下障害とPEG」,フジメデイカル出版,2008
  8. 「嚥下障害の臨床―リハビリテーションの考え方と実際―第2版」,医歯薬出版,2008
  9. みんなのためのやさしい保健福祉用具案内(CD-ROM1枚),県立広島大学,2002

主要な研究業績

学位論文

「上顎切除患者の言語障害と顎補綴による構音改善に関する研究」(1986)

 A.重症心身障害児に対する言語療法の必要性についての研究

  1. 「重障児の言語訓練」 (1960) (共著,以下同様)
  2. 「重複障害精神薄弱児の実態とその対策 」(1961)
  3. 「重障児の時間的生活構造」(1962)
  4. 「Cornelia de Lange 症候群の言語能力についての1事例 」(1964)

 

B.口蓋裂児の実態と言語療法に関する研究

  1. 「口蓋裂の言語障害とその治療について 」(1983)
  2. 「広島大学歯学部附属病院言語治療室における口蓋裂言語障害患者の臨床統計的観察 」(1983)
  3. 「口蓋裂児における言語学習能力の臨床的評価の検討―特にITPA検査の有用性について― 」(1983)
  4. 「広島県下の口蓋裂発生調査について」 (1985)
  5. ナゾメータを用いた鼻音性評価法の試作(2005)

C.その他,言語聴覚障害に関する研究

  1. 健常者の音読速度と速度調節の方略-予備的検討-(1998)
  2. スピーチセラピーの現在(1998)
  3. 発声発語器官における交互運動能力の教示方法の違いの影響-健常成人の場合-(1999)
  4. 乳幼児健診の発達評価項目の再検討―コミニュケーションの障害児の早期発見のために―(2005)
  5. 三原市および周辺地域におけるLD,ADHD児等の支援の現状―アンケート調査から―(2005)
  6. 嚥下ビデオ透視検査時の放射線被曝線量(2007),ほか。

D.最近の研究成果の紹介

JMS舌圧測定器(TPM-01)の臨床応用に関する研究

  1. 口腔機能評価における舌圧測定の有用性―新たに開発した舌圧測定器を用いて―(2011)

<研究結果>

  • 嚥下障害・構音障害患者の舌圧値は,有意に低い
  • 舌圧値と口腔機能との間に一定の関連がみられる
  • JMS舌圧測定器(TPM-/-1)の信頼性は高く,有用な検査ツールとなる
  1. 指導した卒業研究テーマ例(前任校及び本学
  • ナゾメータを用いた日本版鼻音性評価法の試作
  • ITPAからみた口蓋裂児の言語能力の特徴
  • 舌切除後の構音障害
  • ザ行の調音傾向—摩擦音か破擦音か
  • 嚥下造影検査時の検査者の被曝線量
  • 唾液貯留による会話明瞭度の低下
  • “分かりやすい” 発話の特徴
  • 幼稚園児の「心の理論」の発達傾向
  • におい刺激による嚥下機能の改善効果
  • McGurk効果(視聴覚感覚統合)
  • 吃音ピアサークルの有効性
  • 若者におけるアクセントの平板化の推移
  • 日本語会話(映画の台詞)に現れた音韻の出現頻度調査,など

竹内レッスンの講師のことば

・みな,ことばの内容だけを取り出して判断材料にしようと身構えているだけで,話しかけている人そのもの,「わたし」という存在とはかかわろうとしていない。
・人が人に話しかけて人が人を聞く,ということからはほど遠いのではなかろうか。
・声とは人が人にじかにふれてゆく仕方そのもの,人と人とのかかわりの原点,であるのに。

竹内敏晴著「声が生まれる」から

 

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