2018年06月14日

B型肝炎を知る授業を実施
~患者による体験談も~

6月1日、薬学科生を中心に医療従事者として幅広い視野を持てるよう、さまざまな分野のゲストスピーカーによる講演などを取り入れた授業「薬学へのいざない」で、全国B型肝炎訴訟弁護団の1人であった石井誠一郎氏(ひかり総合法律事務所)がB型肝炎について正しい知識や患者の現状を解説。2人の患者の方が自身の体験談を語りました。

「B型肝炎を知っていますか?」と問い掛ける石井氏

勇気を出して体験談をお話しくださった患者の方

B型肝炎患者の拡大は、1948年から1988年まで行われていた集団予防接種で、共通の注射器を複数の子どもたちに使用する、いわゆる“回し打ち”が主な原因であると考えられています。2011年6月には国がその責任を認め、謝罪に至りました。しかしながら医療が進歩した現在でも、B型肝炎ウイルスを完全に除去する術はなく、患者の苦しみは続いています。

石井氏は、アルコール性肝炎よりウイルス性肝炎の方が肝がんや肝硬変などに進行し重症化しやすいことを解説。また母子感染による二次被害も多く、感染時に免疫機能が未発達なことから持続感染(キャリア)になり長期間に渡って苦しめられると言います。
「治療は一生続きます。早期発見・早期治療で重症化を防ぐために、自分は大丈夫と思っている人にも簡単な血液検査を受けてほしい」
と石井氏は訴えかけました。

体験談を語った2人の患者の方は、周囲からの心ない差別や偏見を受け続けた苦しみ、誰よりも理解者であってほしい家族からも理解してもらえない辛さを涙ながらに語りました。大切な長男をB型肝炎から変異した肝がんで亡くされた患者の方は、家庭の貧しさから病院でなかなか効果的な治療を受けさせられなかったことを、今でも後悔していると言います。差別を恐れて人に言うのも憚られた体験談を今回、医療従事者を目指す薬学科生らに話すことで役に立ててもらえればと、特別にご協力くださいました。この授業を通し、学生らは患者中心の医療の重要性について、認識を深めました。

広報室