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臨床工学専攻3年の藤本実和さんが障がい者を支える機器開発で学術大会の優秀ポスター賞を受賞!

2018年10月23日掲載

5月20日に開催された「第10回広島県臨床工学技士会・学術大会」のポスター発表において、藤本実和さん(臨床工学専攻3年)の演題「光電脈波計測を用いた重度心身障害者のための意思伝達装置の開発-多点光電脈波分布計測システム構築のための反射型フォトセンサに関する基礎的検討-」が、優秀ポスター賞を受賞しました。

藤本さんは、二宮伸治教授指導のもと、東広島市黒瀬町在住の重度障がい者に支援機器を提供する取り組みにかかわってきました。障がい者にも、自分の意思や健康状態を相手に思うように伝えられる方法があればと藤本さんが開発に取り組んだのが、血液中の酸素飽和度と脈拍数を調べるパルスオキシメーターでした。

開発した同機器は制御装置とセンサー回路から成ります。手頃な部品を使うことで、市販の同機器に比べはるかに安価な数百円というコストでセンサー回路を製作。これを複数作って制御装置と接続すれば、同時に体の何カ所もの部位を測定することができ、意志や感情、健康状態のより正確な把握に繋がります。

複雑な回路の機器。右部分が制御装置、左部分がセンサー回路

機器の開発は苦難の連続でした。センサー回路を作っては失敗、また作っては失敗を繰り返し、状況を打開できずにいました。その様子を見ていた父親から、

「原因が分からないと同じ失敗を繰り返す。まずは原因を突き止めなさい」

という助言を受け、藤本さんは奮起。失敗しても新たに作らず1つのセンサー回路に集中し、原因追究に時間を費やしました。授業の合間で空いた時間があれば研究室に通いつめ、二宮教授の助言を受けながら実に半年間がんばり続けました。粘り強く追究した結果、ある部品の接続箇所に問題があるという、案外単純な原因であることが判明。接続方法を改善すると正常に動きました。発表では臨床現場で働く臨床工学技士や大学院生に交じり、発表した中での快挙でした。

開発した機器について振り返る藤本さん(写真右)と二宮教授

11月には、全国から発表者が集う「第56回日本人工臓器学会大会」でのポスター発表を控える藤本さん。機器を使って実験の数をこなしながら、発表に備えています。

「いつか実用化に繋げて、障がい者やその家族の力になりたい」

というひたむきな思いが、彼女の研究を支えています。


広報室