教育×人 -リレー・エッセイ48-

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公平性こそ、教育の要。

教授 吉川 広之

薬学博士、薬剤師

専門分野:薬剤学、ドラッグデリバリーシステム

学生に教えられた公平性

教育者として、人に対して常に公平に対応することを心がけています。なかでも、教員から学生への、情報の内容・伝え方と接遇態度が、全ての学生に共通で同等であることが、最も重要であると考えています。もっとも公平性について気づきを得たのは、或る学生の抗議がきっかけでした。定期試験内容の質問で、ついうっかり「この項目は余り重要ではない」旨のことを質問者に言ったところ、後日、別の学生から、『そのような事は講義では聞いてなく、不公平だ』と抗議されたのです。教員の言葉が、学生の気持ちに大きな影響を与えることを知った瞬間でした。その時から、特に教務に関する情報(試験日程・範囲・内容・形式・結果等)については、個別に応えるのではなく、関与者が全員同時に同じ情報に接することができるよう努める注意を払っています。しかし、すべての事柄に対して、すべての学生が自身にとって公平だと感じていただくのは、現実には難しい面もあります。例えば、ひとりの学生のきわめて個人的な問題について相談を受けた際、頻繁に研究室に顔を見せてもらい、激励をしていましたが、他の学生からみるとこの関係性は受け入れ難いところがあったようです。ひいきをしていると見えたのです。個の学生自身が抱える事情を明らかにする事はできず,このような場合,学生の間違った思い込みを防ぐ、或いは解消するのはなかなか難しいこともあります。しかし、学生のやる気を向上させることがあっても、これを削ぐようなことがあってはならないという思いから、教育にとって、最も重要なのは公平性であると、過去、そして、現在も考え続けています。

守備範囲が広い薬剤師のフィールド

蛇足ですが、薬剤師のフィールドは医療職の中でも、基礎科学から東洋医学、最先端の臨床治療まで、恐らく最も守備範囲が広いと思われます。以下に、記しておきます。いずれの場合も薬剤師免許を有している方が、待遇がより良いものです。薬剤師に限られる職種もありますが、薬学部卒での調剤のみの業務以外の進路(含む4年制)としては、大きく4つのフィールド(細分化すると、さらに拡がります)での活躍を期待できます。

・製薬業界:製薬企業は薬学部出身者の能力・専門知識を評価しています。薬剤師免許を有している場合は、臨床開発職(新薬開発のヒトでの治験からその後の市場性、コスト、安全性・有効性の判断をする)も多いです。また製薬メーカーによっては医薬情報担当者(MR:病院・医師へのいわゆる営業職)に薬剤師のみしか採用をしないところもあります。一方、医薬品製造工場の管理薬剤師(品質・製造・工程管理)や、大学院まで進学すれば、専門領域での研究職への道の可能性もあります。

・化粧品業界:化粧品は医薬品医療機器等法で規制されており、製造販売の統括責任者条件として薬剤師は適合しており、免許や届出の管理も行います。また化粧品メーカーの研究職には薬学部卒が少なくないです。

・医薬品流通業界:医薬品のいわゆる卸(おろし)業であり、製薬メーカーから膨大な種類の医薬品を仕入れ、物的流通機能・販売機能・情報機能によって、病院・診療所・調剤薬局に提供しています。医薬品流通業では事業所毎に管理薬剤師を置くことが義務づけられており、輸送・貯蔵に伴う医薬品の品質管理と適正な販売管理および、販売先からの効果・副作用等の情報収集と発信を行います。

・行政関係:公務員試験(国又は地方)に合格する必要がありますが、国公立病院の調剤薬剤師以外の職種としては、国、および地方行政での保健衛生職(国では厚労省・厚生局,地方だと保健所勤務)が主です。その他、別に試験がありますが麻薬取締官(いわゆる麻薬Gメン)のうち半数近くは別枠採用の薬剤師であり、警察の捜査・逮捕と同じ事を行います。同じく要試験ですが、自衛隊の薬剤官(薬剤科幹部候補生:部隊および自衛隊病院での調剤を含む医療衛生業務)の道もあります。

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