教育×人 -リレー・エッセイ48-

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訪日外国人旅行者4000万人時代に、
さらに役立つ薬剤師を期待しています。

教授 村上 照夫 

薬学博士、薬剤師

専門分野:薬物動態解析学

個々の特性を理解して、くすりの効果は最大に。

薬物動態解析学とは、体の中におけるくすりの動き、即ちくすりの吸収・分布・代謝・排泄 (ADME) に関する学問です。服薬指導など、くすりの投与法にも密接に関与しています。各くすり一つ一つの化学構造が異なるように、ADMEはくすりごとに大きく異なります。また、お酒に対する強さが個人間で異なるように、例え同じくすりであっても、個人の遺伝的情報や生理的条件により、体内における動きは個人間で大きく異なる場合があります。どのくすりを用いるか、どの様に用いるかによって、くすりの効き方は大きく異なることになります。くすりや服用者の特性を十分に理解し、くすりの効果を最大限に引き出すことが、専門家としての責務。将来優秀な薬剤師を目指す学生においては、常日頃から、身近にあるくすりについて、その薬効や、薬効を示すくすりの名称、その含量(投与量)、性質、投与法、服用の際の注意点など、大いに薬に対し興味を持ってもらいたいと思っています。

訪日観光客が増える日本、
英語力を持つ薬剤師が、役立ちます。

製薬業界は、世界を舞台に研究や創薬、製造をすすめています。仏、スイス、アメリカ、インドそして日本のメーカーなどがしのぎを削り、頻繁に合併や統合を繰り返しています。そうしたグローバルな時代にあって、訪日外国人の数もまた、急増しています。観光は、日本の成長戦略の柱であり、地方創世への切り札。日本政府も、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催する2020年に、4000万人の訪日外国人旅行者を迎えることを目標にしています。(日本の人口は、2016年に1億2000万人ですから、その1/3程度の観光客を受け入れると考えるとイメージしやすいかもしれません)

さて、これだけ多くの外国人の中には、滞在中に、風邪をひいたり、熱を出したり、けがをしたりと、くすりを必要とする人も出てくることが容易に想像できます。薬剤師としても、当然ながら、症状を的確に理解し、最適のくすりを選び、使用法を説明する責務があります。知っている方が良い外国語としては、英語をはじめ、中国語やスペイン語など様々考えられますが、薬学の専門性も考えて、まずは、英語です。現在、くすりに関する最新情報の大半は、英語によってもたらされるからです。
薬物動態に関与する専門用語の多くも、通常用いる教科書に英語でも表記されており、学生には是非覚えることを勧めています。卒業研究に取り組む研究室の学生に対しては、各自の卒業研究テーマに役立つ原著英語論文を用いセミナーを行っています。これらの学習を通じ、英語ででも情報提供できる薬剤師を目指す学生が増えることを期待しています。もちろん、学生に対して、努力を期待するように、わたくし自身、教員もまた、目標をもって努力を続ける存在でありたいと思っています。

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