みなさんが将来社会に出たとき、さまざまな職種やさまざまな考え方をもった人たちと関わることになります。そして、現代の仕事は、一人の専門知識や技術だけでは解決できない複雑な問題が増えています。そのため、チームで動く力を養うことは非常に重要なことです。
チームの学びによって、相手の立場や仕事を理解し、尊重できるコミュニケーション力を身につけます。
その力は、異なる視点やスキルを持ち寄り、効率的に問題解決できる近道となります。
また、仕事全体の質を高めることにも繋がるのです。お互いに信頼関係を築くことで、働きやすい職場環境を作る手助けにもなります。
本学では、将来現場で多職種と協働できる人材を育成するため、「IPE(専門職連携教育)」に力を入れています。IPEでは、異なる学部・学科の学生が共に学び、お互いの専門性や役割への理解を深めます。対話や協働の経験を通じて、実践的なコミュニケーション力やチームで問題解決する力を養います。IPEの学びは、IPW(多職種連携)の現場で活かされ、より良いサービス提供へとつながっていきます。
IPE(専門職連携教育)とは、異なる専門分野を学ぶ学生が一緒に学び合う教育です。
将来、それぞれの専門性を活かしながらチームとして働くために必要な力を身につけます。
お互いの役割や考え方を理解し、コミュニケーション能力を高め、共に問題解決する経験を通して、現場で活躍できる実践力を養います。一人では解決できない課題に、チームとして取り組む力を育てることをめざしています。
IPEはIPWを機能させるために行われる専門職者への教育です。
IPW(多職種連携)は、医療、福祉、教育など、異なる専門知識を持った人たちが協力し、より良いサービスを提供するためのチームワークのことです。例えば、病気の子どもを医師、看護師、ソーシャルワーカーなどが連携してサポートすることで、病気の治療だけでなく、家族の不安や生活面の困りごとにも対応できるようになります。このように、それぞれの専門性を生かして協力することで、より質の高い、きめ細かいサービスの提供をめざします。
現代の医療・福祉・社会生活の現場では、ひとつの専門職だけでは対応できない複雑な課題が増えています。
そうした課題に向き合うには、 異なる専門性を持つ人々が連携し、チームで解決に取り組む力が欠かせません。
IPEの例として代表的なのが「チーム医療」です。
医療現場では、医師、看護師、薬剤師など異なる専門の医療スタッフが協力して、患者さんに最適な治療やケアを提供します。
専門家が集まり、それぞれの知識やスキルを活かし合うことで、患者さん一人ひとりに合った医療の提供が可能となります。
また、現在では医療現場だけでなく、地域の中での連携も必要とされてきています。
広島国際大学では社会のニーズに対応するため、
学生全員が多職種連携(IPW)に関するスキルを修得するカリキュラムになっています。
健康・医療・福祉に関わる様々な専門職は皆、サービス利用者の利益を第一に考えていることを理解します。自分がめざす職種や他職種は、サービスの利用者を中心としたチームのメンバーであり、その連携の重要性を理解します。様々な職種の業務内容を広く知り、各専門職の関わり等をグループで学修、議論し、自分の言葉で論理的に説明し、他者の話を理解し判断する能力を養います。
健康・医療・福祉に関わる様々な専門職間の密な連携をスムーズに実践するため、グループワークを通じて他者と積極的に交流し、問題解決策を学びます。入学後の学生生活で生じた問題や、Well-being について、グループで議論し、他者の意見に耳を傾け、解釈し、問題点や不安要素に対する解決策を導く力を養います。
本学で多種多様な専門職を学ぶ学生がグループワークをとおして、その専門職の価値観、やりがいなどを、専門的な用語を用いて説明することで知識や技術の共有を行う。さらに、人・社会・職種との連携の在り方について討議することで、リーダーシップやコミュニケーションスキルを向上します。
様々な学科の学生とグループワークにて健康・医療・福祉分野の事例について、そのサービス利用者やその家族の生活、ニーズや問題をチームで共有し、ケアプランを考えるプロセスとその内容についてチーム全員の広い視野の建設的なディスカッションを行う。最終日には、本学修の成果について各チームより発表を行うことで、多職種連携の意義が自分の言葉で説 明できるようになります。
CASE 1
脳血管の疾患である脳梗塞や脳出血では、一命をとりとめたとしても後遺症が重く残る場合があります。手足の麻痺やうまく話せない言語障がいのある患者さんに対して、後遺症の改善や日常生活動作の改善、職場復帰、地域社会への復帰を図るリハビリテーションに患者さんとともに取り組みます。
チームの仕事内容(一例)
手足のマヒや言語の障がいなどの後遺症を改善するためには、迅速な医師の診断、看護師・介護福祉士によるベッド上の姿勢管理等サポート、理学療法士・作業療法士などが連携した運動機能の回復、言語聴覚士による言語障がいの改善など、専門職の垣根を越えて社会復帰に必要なアプローチを続けます。CASE 2
病院に入院している患者さんの栄養状態は定期的にチェックが行われます。栄養の検査結果が悪い場合は、医師·看護師·薬剤師·管理栄養士などを含めた定期的な打ち合わせで情報を共有し、時には治療法の変更協議にも携わります。飲み込みができない障がいには、言語聴覚士との連携も強化します。
チームの仕事内容(一例)
管理栄養士は、急性期から回復期、維持期で患者さんの状態に応じた栄養指導を検討します。医師と適切な栄養プランを作成して、栄養補給や食事量を調整します。また、退院後の在宅医療も栄養面でサポートをします。家族を含めた栄養指導、食事療法の献立にも関わり、役割が大きくなっています。
CASE 3
住み慣れた自宅で最後まで暮らしたい。そう願う人が増えています。 それを支えるのが、在宅で介護や医療的ケアを受けるために必要な、保健·医療·福祉のチーム体制。地域で生活する赤ちゃんから高齢者まで、誰もが安心できる包括的ケアを切れ目なく提供する仕組みが求められています。
チームの仕事内容(一例)
専門的な知識や経験を持つスタッフが、引きこもり予防や栄養改善、運動機能向上など幅広いプログラムの企画、指導を担当します。また、地域の高齢者、障がい者、子育て世代など、幅広い住民が気軽に集まり、住民同士のつながりを実感できるサロン活動には、行政や社会福祉協議会と協力してサポートする役割もあります。さまざまなシナリオに基づき、チームで考える力を養います。