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学科内の学生広報団体「広国広げ隊」のメンバーがOGにインタビューしました!

2023年3月7日

広国広げ隊は学生有志の団体で、心理学科や心理学に関わるテーマを取り上げて記事を作成し、HP・SNSで情報発信しています。

今回は2019年度心理学科卒のOGで、特定非営利活動法人ソレイユに勤務されている山口亜美さんにインタビューをしました。NPO法人や勤務先での活動、福祉職を目指したきっかけ、心理学との関わりなどについて伺いましたのでご覧ください。

 

Q1.そもそもNPO法人(特定非営利活動法人)とは何ですか?

A1.法律的な立ち位置から説明すると、NPO法人は特定非営利活動促進法という法律に基づき法人格を取得した法人で、元のベースはボランティアです。

1995年の阪神淡路大震災がきっかけとなり、ボランティアの重要性が見直されました。市民が行うボランティア活動をはじめとする、社会貢献活動としての特定非営利活動を促進する目的として1998年に成立したのが、特定非営利活動促進法です。

ボランティア活動自体は、悪徳な団体でもできてしまいます。そのため、法律に定められた申請方法に従って、申請書を所轄庁に提出し、認証を受けて法人格を取得することより、団体への信頼性を高める目的もあります。

なお、特定非営利活動は、福祉以外にも、教育、文化、街づくり、環境、国際協力など20の分野が認められています。

 

Q2.今ソレイユさんではどのようなサービスを行っていますか?

A2.ソレイユでは6歳~80歳までの障害のある方を対象としたホームヘルプサービスと、6歳~18歳までの障害のある児童を対象とした放課後等デイサービスを行っています。

ホームヘルプサービスは障害者総合支援法、放課後等デイサービスは児童福祉法に基づくサービスです。

ホームヘルプサービスでは、ご自宅に伺い、ベッドから車いすへの移乗、入浴介助、トイレ介助などを行ったり(身体介護)、調理、選択、掃除などを行ったりします(家事援助)。ご自宅に伺う以外でも、病院へ同行したり(通院介助)、ライブや映画へ一緒に行ったり、プール施設で一緒に泳ぐなど(移動支援)もありますね。その他、行動障害の重症度が高い方に対して、外出や通院の介助を行っています(行動援護)。

放課後等デイサービスでは、月曜日から土曜日の間で営業していて、利用者さんたちが学校終わりの放課後や休日の時間にソレイユへ来て、スタッフと一緒に遊んだり、宿題をしたりしながら過ごしています。

 

Q3.利用される方はどのような方が多いですか?

A3.ソレイユでは、6歳~80歳までの障害がある方がサービスを利用されていますが、ソレイユのような障害福祉サービスを提供する事業所を利用するためには、障害福祉サービス受給者証という、各自治体や市町村が発行する証明書が必要となります。そのため、利用者さんたちはみなさん、障害福祉サービス受給者証を取得されています。

 

Q4.ソレイユさんは放課後デイサービスを行っていますが、障害を持った子供たちとどのように遊んでいますか?また、そのときどのような工夫を行っていますか?具体的なエピソードはありますか?苦労したことはありますか?

A4.ソレイユは、自分でできることは利用者さん自身にしてもらうという方針をとっています。基本的に、利用者さんがやりたいことを中心に考えているので、皆で紙芝居をみるというようなプログラムはありません。工作やお絵かき、パズル、おままごとなどの遊ぶ道具があるのでそれを個人で遊んでもらう形をとっています。おもちゃのお金150円を使って好きなお菓子を買うことを通して、お金の使い方を学ぶ機会もあります。宿題をする利用者さんもいます。

工夫のエピソードとして例えば、AさんがBさんと一緒に遊んでいる時に、A さんはそのまま遊び続けたいけれど、Bさんは飽きて1人で遊びたい気持ちになっている状況があったとします。その時は、Bさんに対しては「このままAさんと遊び続けても大丈夫?/もし一人で遊びたいなら、Aさんと遊ぶのはあと何分くらいにする?」と、またAさんに対しては「Bさんがこの遊びをやめた後は、スタッフと一緒に続けることもできるけど、どうする?」などと声掛けをして、それぞれのやりたいことを確認したり、促したりするようにしています。毎日工夫して接しています。しかし、以前行った方法では通じないこともあります。

 

Q5.コロナでどのようなことに苦労しましたか?

A5.ソレイユとしての苦労もあったと思いますが、利用者さんも苦労されたと思います。コロナ以前はお出かけする機会も多かったのですが、コロナ以降は減りました。

クッキングのイベントでは、コロナ以前はみんな同じ部屋で作っていたのですが、今では部屋を分けたり、時間をずらすなどの工夫をして感染予防対策を行っています。

 

Q6.心理学はどのようなところで活用できますか?職場の中で心理学が役だった場面はありますか?

A6.身体が不自由な利用者さんもいますが、発達障害の利用者さんも多く利用しています。発達障害は心理学の分野なので、心理学の知識がある人も現場に必要だと思っています。例えばアセスメントですね。この利用者さんはどういう特性を持っているかを言動からくみ取り、心理学の知識を使ってアセスメントすることも多いです。そして、アセスメントを受けて何をしたらいいかということを頭で考えながらサポートに繋げていきます。もし、発達障害などの特性や知識を知らなければ、利用者さんに対して「わがままな子」や「自制心がきかない子」というレッテルを貼ってしまう恐れがあります。利用者さんの言動に「理由がない」という誤った理由づけをすることは、成長を妨げる要因の一つになると思います。利用者さんの脳と心の動きを探るのは心理学そのものだと思いますね。

また、保護者の方とのコミュニケーションにも活用しています。基本的には、送迎の短い時間の中での情報交換になります。その中で、保護者の方との信頼関係の築き方や、利用者さんの状況を聞くときの傾聴の姿勢などは、意識して心理学を活用しているつもりです。

 

Q7.福祉に興味を持ったきっかけは何ですか。

A7.興味というよりも生活の一部だったと思います。学生時代にソレイユでアルバイトをさせていただいていたり、親が看護師をしていてグループホームに出入りをしていたこともあり、日常的に福祉に関わっていたんですよね。

 

Q8.福祉には介護のイメージもあるのですが、子供に関わる仕事に就いたきっかけは何ですか。

A8.わたし自身、子供っぽいところがあり、子供に共感することが多く、同じ目線で工作などを行うことが楽しく気分転換になるからです。もちろん、子どもが好きだったということもあります。

 

Q9.今やりたいことはありますか。

A9.保育士の資格を取ることと、手芸や工作の勉強をしたいです。

 

Q10.後輩へのメッセージやアドバイスなどお願いします。

A10.今の世の中は経済的に不安定になっているなどの話をよく耳にします。卒業までの残り少ない時間で、経済的にも精神的にも親から自立できなかったからといって、自分のせいだけにして焦らない方がいいです。1年後や2年後の目先のことだけではなく、10年先のことも考えてみましょう。

上手くいかないときや自分の希望に沿わないときもあると思いますが、そのようなときはあまり自分を責めすぎないようにしてください。

 

心理学科3年 相原唯乃、永田亜依、白浜健太郎

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