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「学園広報誌FLOW97号」で健康科学部 医療経営学科の橋村 政哉 助教 を紹介しています。

2022年3月7日

JOSHO FRONTIER研究最前線【学園広報誌FLOW97号(2022.3.5発行)掲載記事】

 良い職場は「健康経営」の実践から コラボヘルスで未来をひらけ

健康科学部 医療経営学科 橋村 政哉 助教

 

「長く生き生きと働ける職場にするには何が大切か」。人的資源管理論を専門とする橋村助教は、近年その重要性が説かれる「健康経営」に注目し、研究に取り組んでいます。

「健康」と「経営」。一見かけ離れているようにも見えますが、従業員の健康保持・増進の取り組みが将来的に企業の収益性を高めるという考えの下、健康管理を経営的視点から実践する「経営手法」として生まれたのが、健康経営です。健康診断などの従来の「ヘルスケア」にとどまらず、ワーク・ライフ・バランスの整備、運動機会の増進、受動喫煙対策といったさまざまな健康に関する施策を実施し、従業員の健康管理・健康づくりを推進する。それが医療費の節減だけでなく、従業員の活力向上、生産性の向上をもたらし、結果的に業績向上や組織の価値向上へとつながる。労働人口の高齢化が進む現代社会において、その取り組みは、ますます重要になってきています。

健康経営の概念は、1992年にアメリカの経営心理学者ロバート・ローゼンが著書「ヘルシーカンパニー」で「健康な従業員こそ収益性の高い企業をつくる」と提唱したことに始まります。アメリカでは、1980年代から労働災害が増大し、公的医療保険制度が整っていない中で、従業員の医療費負担が企業経営にとって深刻な問題となっていました。こうした背景から、健康経営が90年代に入って広がっていきました。

日本でも90年代以降、国民医療費増大が目立つようになりました。働く人々の健康が企業経営に及ぼす影響がより深刻になるだろうとの危惧から、2006年に大阪ガスの元産業医だった岡田邦夫氏らがNPO法人健康経営研究会を発足し、啓発活動を開始しました。

政府も国民の健康増進を図る国策の一つとして健康経営の普及・推進を掲げ、経済産業省は2014年から上場企業が対象の「健康経営銘柄」を選定し、2016年には中小企業も対象となる「健康経営優良法人認定制度」を創設するなど、各種顕彰制度を設けています。

しかし、日本ではまだ馴染みが薄いのが実情です。橋村助教は、「広島県の中小企業5万社のうち、健康経営に取り組んでいるのは1500社程度。国全体の実施比率も高くありません。費用対効果の明らかな実証がないことも理由の一つかもしれません」と課題を語ります。

健康経営の実践には「健康保険組合を運営する保険者と、経営者が連携して自社の健康課題をデータ分析し、従業員も積極参加して効果的な施策を考え実施する。三者一体となって健康増進の施策に取り組む『コラボヘルス』が肝心でしょう」と橋村助教は話します。「取り組んだ効果は数値評価よりも定性的に捉えることが大事です」。健康経営の普及を目指して橋村助教は研究を続けます。

 

■プロフィール:橋村 政哉(はしむら・まさや)助教

2005年西南学院大学商学部経営学科卒。

2015年明治大学大学院経営学研究科経営学専攻博士後期課程単位取得退学。

同大学院同研究科教育補助講師、同大学経営学部兼任講師などを経て、

2019年広島国際大学医療経営学部医療経営学科特任助教。

2020年から現職。福岡県出身。

 

■医療経営学科の教員紹介

https://www.hirokoku-u.ac.jp/health_science/teachers/teachers_category/wm/

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