ロビーの笹に揺れる、学生さんの願いと七夕の物語

2025年07月09日

本学では、6月中旬頃から東広島・呉の両キャンパスの建物ロビー3か所に笹を置いており、願いを短冊に書いて飾ることができるようにしています。ロビーを通るたび、色とりどりの短冊が飾られた七夕飾りに心が和みます。今年もたくさんの願い事が笹の葉を彩っています。短冊を見ていると、学生の皆さんの声が聞こえてくるようで、多くの学生さんとつながっているかのような感覚になります。また、飾られた短冊の重さで笹の枝が垂れ下がる様子は、多くの学生さんの想いを感じるとともに、全体が恐竜のようにも見え、七夕とも併せてロマンを感じます。

< 七夕と天の川>

七夕は、中国の神話が原型になったと言われます。天の川を挟んで離れ離れになった織姫と彦星という二人の星が1年に一度通じ合う、という壮大でロマンチックな伝説です。7月7日は平年であれば梅雨。星空を見ることができない年も多いですが、韓国では、七夕に雨が降ると、「織姫と彦星がうれし涙を流している」と言われているとか。私は子ども心に「雨が降ると会えない」と思っていましたが、この考え方はいいですね。

七夕は「7月7日」ですが、もともとは旧暦の7月7日です。旧暦では1日が新月(月が全く見えない)なので7日は、月明かりの影響も少なく、天の川が見えやすい時期です。最近は「光害」のため、天の川が見えなくなってきました。私の自宅付近でも、私が子どものころは肉眼でも天の川が明瞭に見えており、七夕にはロマンに空想を膨らませていたものですが、今は見えなくなってしまいました。今年の7月7日は満月に近く雲も多かったですが、織姫と彦星の間に横たわる天の川付近に天体望遠鏡の広角レンズを向けると多くの星を見ることができました。望遠にすると本当に多くの星があるのがわかり、肉眼では確認できないけども確かに天の川があることを実感します。

旧暦の7月7日は年によって異なりますが、今年は8月29日だそうです。その頃に、「光害」が少ない地域に出かけて、星空を見て、空想にふけるのもいいなと思っています。

<短冊に込められた>

学生さんが書いた短冊には、「単位が取れますように」「国家試験に合格できますように」「無事病院実習がおわりますように」といった学業に関することから、「素敵な出会いがありますように」「〇〇のライブに行けますように」といった生活に関する願い、「世界が平和になりますように」といった昨今の社会情勢を見据えた想いまで、多種多様な願いが書かれています。「7月5日に災害が来ませんように」という今年ならではの願いも見られました。

一つ一つの願いは、学生さんの「今」を映し出す鏡のようです。それらの願いが笹に集まっているのを見ると、大学という場所が、単なる学びの場だけでなく、皆さんの夢や希望が交錯する「しあわせを願う場」となっていることを改めて感じさせられます。

< 願いを叶えるために>

「短冊に願いを書く」というように、願いや想いを具体的に形にして文字にすることは、目標を明確にし、それに向かって努力するための第一歩です。もちろん、書いただけで願いや想いが叶うわけではありません。しかし、文字にすることで、それが心の中に深く刻まれ、日々の行動に繋がりやすくなります。また、何気なく文字にしたことで、意識していなかった自分の想いを認識することもあるでしょう。

これからも、学生さんには願いや想いを文字など形にしてもらうことで、願いや想いがさらに輝きを増して、それらが一つでも多く実現することを心から願っています。私たち教職員も学生さんの学びと成長を全力でサポートしていきます。