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2025年3月26日
広島国際大学の学科広報「広国広げ隊」が、大学院で睡眠の研究を行っている山岡香織さんにインタビューを行いました。山岡さんは社会人経験を経て、現在は心理学専攻博士前期課程心理学コースの1年生です。インタビューでは、以前の仕事内容や大学院進学のきっかけ、現在の研究などについて伺いました。
大学院に入学する前はどのようなお仕事を経験されたのでしょうか。
卒業してすぐドラッグストアに就職しました。相談員や管理者のような立ち回りでお店の立ち上げや相談業務などを行ったのですが、中でも健康相談では睡眠の相談を多く行いました。
そのため、地域の方にもっと睡眠の大事さを伝えたいと思い、数年ほど働いた後、寝具メーカーに入りました。 そこでは商品の販売や、お客様に対して睡眠のアドバイスや睡眠の講演会をしました。
仕事経験の中で楽しかったことがありましたら教えてください。
寝具メーカーに勤務しているときに、とあるホテルのテナントに店舗を移転しました。そのときにホテルに快眠できるお部屋を作るというお話を伺い、ホテルの方と交渉をして、スイートルームに対して快眠をコンセプトにしたお部屋に変えさせていただきました。それがとても貴重な経験で、とても楽しかったです。
大学院を目指したきっかけや睡眠に興味を持ったきっかけはなんでしょうか。
高校生の頃、睡眠について専門的に研究している田中秀樹先生をテレビで見て、非常に勉強になると感じ、楽しそうだと思いました。その時、まだ無邪気な高校生だった私は、田中先生に会いたいと思い、実際に会う機会をいただきました。
睡眠はとても重要で面白いテーマだと思ったのです。実際、大学を受験したのも、その分野に興味があったからで、大学で学んでいく中でもっと深く学びたいと感じ、大学院に進学しました。ちょうど、自分の関心のある分野を研究できるコースがあったので、その道を選びました。
社会人から大学院生になり金銭感覚に変化は生じましたか。
収入がなくなることが一番不安でした。働いているときには、定期的に月給が入る生活が当たり前になっていました。大学院に進学すると、その収入がなくなってしまうわけですから、生活していけるかどうかが心配で仕方なかったです。
しかし、実際には奨学金を借りて、経済的な支援を受けることができました。また、学内でティーチングアシスタントとして働かせてもらい、後期には学内事務のアルバイトも始めました。社会人経験があったので、そういった仕事を任せてもらえたのがありがたかったです。睡眠に関する講演会の依頼もいただくことができ、生活を支えてもらいました。
奨学金について教えてください。
私は長年にわたり働いていたので使えない制度が多かったのですが、実は日本学生支援機構以外にも、企業が提供する奨学金制度があったりします。たとえば、入学時の年齢制限等はありますが、毎月5万〜10万円を返済不要で支給してくれる奨学金があります。こういった制度も活用できるので、社会に出てもう一度学び直しを考えている方は、ぜひ調べて利用してみると良いと思います。
大学院ではどのような研究をされていますか。
睡眠について研究しています。最近、睡眠時間や睡眠の質だけでは、疲れを測ることはできないということに注目が集まっています。睡眠の満足感にも個人差があり、例えば同じ8時間寝ても、足りていると感じる人もいれば、足りないと感じる人もいます。そういった問題について研究を行っています。
また、社会人経験を通じて、「寝られればいい」というだけではないと気づきました。例えば、8時間や10時間寝ることができても、それだけで本当に幸せかと言うと、そうではなく。そこから先の毎日楽しく充実した生活ができるかどうかという点に非常に興味を持っています。ですので、私の研究では、休養感や幸福感、健康といった要素を中心に進めています。今後は、それらの要素が睡眠によってどのように変化するのかをさらに調査していきたいと考えています。
大学院で苦労していることがあれば教えてください。
思っていた以上に大学院は厳しくて、特に論文の執筆は、社会人経験とはまた違った挑戦であり、大きな壁となりました。これまで論文を書いたことがなかったので、最初は「書けない、書けない」と悩み、かなり苦労しました。でも、最近、学生に「しんどい時期もあったけど、今は楽しそうですね」と言われ、その言葉に少し励まされました。確かに、大変なことが多いけれど、その中でも楽しさを見出している自分がいました。
一方で、学部生の頃と比べていろんな先生方から指導を受ける機会があることは、とてもありがたいです。もちろん、学部生のときにも指導は受けていましたが、学部では、科目ごとに担当の先生から教わる他は、基本的には自分のゼミの先生に質問することが多かったです。それに対して、大学院では、毎月1回、いろんな先生方の前で研究発表を行い、さまざまな分野の先生から意見をいただけます。同じ心理学でも、分野が違う先生から指導を受けられるため、自分とは違う視点を得られることがとても楽しく、成長できていると感じます。
未経験のことが一気に押し寄せてきたときは、本当にどうしようかと慌てましたが、やっていくうちに少しずつ乗り越えられる瞬間が訪れます。その過程で助けてくださる先生方がたくさんいることは、本当にありがたいと思っています。
最後に学部生、高校生に一言お願いします。
もちろん、勉強は大事ですが、それだけでなく、しっかり遊んでほしいとも思います。友達や信頼できる人間関係をしっかり作っておくことも大切です。社会に出たとき、困ったときに相談できる相手を持つことは非常に重要です。そして、遊ぶ中でも学べること、経験できることがたくさんあります。今しかできないことをしっかり楽しんで、色々な経験をしてほしいと思います。