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2023年1月31日
難病プロジェクト「Mebia」の学生たちが、プロジェクト第ニ弾の活動として「パーキンソン病の患者さんの夢」を叶えました。今回夢を叶えたのは、呉市内の介護施設で暮らしている60代の男性。自らの力で思うように体を動かすことが困難な状況ですが、元々得意だった水墨画に挑戦し、年賀状に絵を描き大切な人に届けました。
男性のもとを最初に訪問したのは昨年4月下旬。先輩からリーダー引き継いだ藤山すずかさん(医療福祉学科3年)を中心に、卒業生やプロジェクトの活動に興味を持つ高校生3人も参加しました。まずは、施設職員の方から生活状況などを伺い、実際に話しながら実現したい夢についてヒアリング。「どんな夢を持っているのか?」ニーズを探ることからスタートしました。
会話を通じて夢のヒントを探る学生ら
2回目の訪問時、「自身が描いた絵を展示する美術館をつくる」というアイデアを提案しました。しかし、男性の思い描いている夢ではなく、一度持ち帰って再考することに。メンバーでよく話し合い、自信を持って出したアイデアでしたが、双方の想いが一致せず、支援することの難しさを痛感しました。
施設内でのミーティング
それでも、複数回施設を訪れ、直接コミュニケーションを取ることで、少しずつ信頼関係が生まれていきました。そのなかで「得意だった水墨画にチャレンジしたい」、「大切な人に自分の想いを込めた年賀状を届けたい」という男性が本当に叶えたいと思う「水墨画を年賀状にして、大切な人に届ける」という夢を汲み取ることができました。
水墨画を年賀状に描く
久々に筆を手に取った男性は、パーキンソン病の影響で手が震え、筆を思うように動かすことができない状況でしたが、専門職や学生の力を借りながら一生懸命練習に励みました。約1カ月の期間で作成し、昨年12月中旬に9枚の水墨画を描いた年賀状が完成。男性の想いとともに、今年の正月、大切な人のもとへ届けられました。夢を叶えた男性は、「もうちょっと上手く書ければよかった…」と悔しさを滲ませながらも、充実感のある表情で笑顔を見せてくれました。
夢を叶えた男性とプロジェクトの学生ら
今回のプロジェクトは、学生、高校生、卒業生、専門職とさまざまな人が関わりましたが、皆にとって貴重な経験となりました。また、この取り組みに賛同した広島銀行黒瀬支店の協力により、プロジェクト活動の軌跡や作品が2月末まで同支店内で展示されています。
広島銀行で展示された作品
銀行を訪れた方に活動の軌跡を紹介