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2025年1月20日
広島国際大学 医療栄養学科 講師の齋藤瑛介は、国家公務員共済組合連合会 吉島病院 医師の尾下豪人および管理栄養士の野間智美等と共に、非結核性抗酸菌症患者の栄養管理に関する共同研究に取り組んでいます。この度、「日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌」に研究論文が採択されました。本研究により、非結核性抗酸菌症患者に対する管理栄養士による早期栄養介入および栄養アセスメント、そしてチーム医療の重要性がさらに高まると考えられます。
<論文情報>
非結核性抗酸菌症患者に対するエネルギー充足率を指標とした栄養指導の有効性
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
野間智美、尾下豪人、坂本藍、神田直人、齋藤瑛介、池上靖彦、山岡直樹
https://doi.org/10.15032/jsrcr.24-03(外部サイトへリンク)
現在わが国の非結核性抗酸菌症(NTM)の罹患者数、死亡者数が著しく増加している。NTM患者は健常者と比べてやせ型で、BMIが低く、低体重やアルブミン低値が予後不良と関連することも報告されている。また、低体重は呼吸筋力や活動性の低下をきたすことによって健康関連QOLの悪化を招く。本研究の目的は、NTM診療における栄養評価の指標として、エネルギー充足率の有用性を明らかにすることである。管理栄養士による食事調査と栄養指導を実施したNTM外来患者42例を後方視的に検討した。「エネルギー摂取量/総エネルギー消費量」をエネルギー充足率とし、摂取量は管理栄養士による24時間思い出し法を用いて推算した。42例は年齢中央値71歳、女性が34人(81%)だった。低体重(BMI 18.5 kg/m2未満)の22例ではそれ以外の20例と比べてエネルギー充足率が有意に低かった。エネルギー充足率100%未満の21例中16例について栄養指導の3ヶ月後に再評価したところ、エネルギー充足率の改善を認め、3%以上の体重減少を示した患者はいなかった。NTM患者において、エネルギー充足率を指標とした早期の栄養指導を行うことにより、エネルギー摂取量が増加する可能性がある。