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医療栄養学科 齋藤講師らの研究論文が「Scientific Reports」誌に掲載されました。

2025年1月27日

広島国際大学 医療栄養学科 講師の齋藤瑛介らは、近年急激に増加傾向にある早期発症大腸癌の一次予防に関する研究に取り組んでいます。この度、大腸癌リスクと関連のある腸管内胆汁酸代謝に及ぼす習慣的な食事パターンを横断的に検討した結果を報告しました。葉物根菜類の摂取が、腸内細菌による一次胆汁酸(コール酸とケノデオキシコール酸)から二次胆汁酸(デオキシコール酸とリトコール酸)への生物変換を阻害する可能性が示唆されました。二次胆汁酸は遺伝毒性、腫瘍促進作用を有していることから、これら食品の摂取は大腸癌一次予防に関わる可能性が考えられます。

本研究結果は2025年1月に国立京都国際会館で開催された、第28回日本病態栄養学会年次学術集会でも報告されました。

 

<論文情報>

  • 論文タイトル

High leafy and root vegetables and high rice dietary patterns were associated with primary and secondary bile acid levels in the feces

  • 誌名、号、番号(年)

Scientific Reports. 15, 2092 (2025)

  • 著者

Yosuke Saito, Toyoaki Sagae

  • 論文掲載ページ

https://doi.org/10.1038/s41598-025-86273-8(外部サイトへリンク)

  • 概要

【目的】大腸癌は日本の癌部位別罹患数で最も多く、さらに死亡率は近年著しく増加している。したがって大腸癌の一次予防法を確立することが求められている。食事は大腸癌の変更可能なリスク因子で、この関係には胆汁酸が深く関わっている。腸管に分泌された胆汁酸は、腸内細菌によって発癌に関わる二次胆汁酸に代謝される。長期的な食習慣の改変は、腸管内胆汁酸代謝に影響し、大腸癌のリスクを低減させる可能性があると示唆されている。本研究目的は、胆汁酸の糞便中濃度に影響を及ぼす食事パターンを横断的に探索することである。

 

【方法】若年女性63名の糞便中胆汁酸濃度、腸内細菌叢、1週間の排便状況、習慣的食事摂取状況のデータを収集した。胆汁酸濃度と腸内細菌叢はそれぞれ、LC-QTOF-MSと細菌の16S-rRNAを標的とした末端制限酵素断片長多型を用いて解析した。排便状況は1週間に排泄された全ての便の状態を、ブリストルスケールを用いて参加者によって自己記録された。習慣的食事摂取状況は、簡易型自記式食事歴質問票を用いて調査された。食事パターンは縮小ランク回帰分析を用いて生成された。

 

【結果】糞便中胆汁酸濃度に関連する2つの食事パターンが生成された。食事パターン1は葉物と根菜類の摂取量が多いことと関連し、スコアが高いほど一次胆汁酸濃度が高く、二次胆汁酸濃度が低かった。食事パターン2は米の摂取量が多く、洋菓子、豚肉、牛肉、卵の摂取量が少ないことと関連し、スコアが高いほど二次胆汁酸濃度が低かった。これらの関係性は、共分散分析を用いた腸内細菌叢と排便状況の変数による調整後、変化しなかった。

 

【結論】積極的な野菜類の摂取は、一次胆汁酸から二次胆汁酸の微生物変換に影響を与える可能性がある。さらに、エネルギー摂取源を洋菓子、豚肉、牛肉、卵などの脂肪の多い食品から米などの低脂肪穀類にシフトすることで、糞便中二次胆汁酸濃度が低下する可能性がある。

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