杏林大学医学部付属病院 看護部外来 師長補佐
日下部 茜さん (2002年卒業)
Q.1 今、どんな仕事をしていますか?
入職から17年間、形成外科・乳腺外科・整形外科の混合病棟で勤務してきました。その後異動し、外来勤務5年目となります。現在は、形成外科・耳鼻咽喉科・顎口腔外科・インフォメーションを担当しています。
外来へ異動となった時は、患者さんや家族と関わる機会が病棟の時より少なくなるのではと心配していました。しかし実際に外来で勤務してみると、初診から治療をしていく経過すべてに関わることができることにやりがいを感じています。
Q.2 日下部さんが思う看護師像について教えてください。
初診患者さんの中にはがんの疑いで来院する方も多くいます。そういった方の不安に寄り添い、診断が出た後も患者さんや家族が望む治療がスムーズに導入できるよう、他職種と連携しながらサポートする体制を整えていくことが看護師の重要な役割だと考えています。
また、患者さんや家族が治療や終末期に対する自分の思いを形にしていくお手伝いを、傍に寄り添いできるのも看護師だと思います。しかし、患者さんに声をかけるタイミングやどう声をかけるかなど、不安を感じている看護師も多くいるため、部署内でコミュニケーションスキルやACP※についての勉強会を企画開催し、外来看護師全体の知識や看護の質向上に師長とともに取り組んでいます。
※ACP:アドバンス・ケア・プランニング。自分が望む医療やケアについて前もって考え、その希望や思いを家族や医療・介護の専門職など信頼できる人と繰り返し話し合い、共有する取組
Q.3 学生時代に経験しておいてよかったことは?
コミュニケーションスキルを向上させるためには学生のころからいろんな世代の人と交流することが有効だと思います。私は大学時代にアルバイトを通して、地域の人たちとたくさん交流する機会がありました。時には夕飯をお裾分けしてもらったり、育てている野菜をいただいたり、貧乏学生にはありがたいことも多くありました。1期生が在学中は東広島市黒瀬町にキャンパスがあったので、黒瀬町の地域の方々には本当にお世話になったと思います。そして、いろんな世代の人からたくさんの経験談を聞いたことが私のいまの看護にもつながっていると感じることがあります。学生時代を友達と過ごすことも大切な時間ですが、行動範囲を広げて地域の人たちともぜひ交流する機会をもってもらいたいと思います。広島の人たちは情に厚く、楽しい人たちが多いのでおすすめです。
Q.4 広国大看護学科で学んだ講義・演習・実習について、良かった点を教えてください。
演習の環境がとても恵まれていたと感じます。在宅を想定した部屋やリフトバス、いろいろな呼吸音が聴取できる人形モデルなど、今思えば、当時からわりといいものが準備されていたのではないかと思います。あの頃は何事にも精一杯すぎてあまり自己学習に活かせずもったいなかったなと感じます。
附属の病院や施設がないので、広島県内のいろいろな病院と施設に実習でお世話になりました。実習の区切りごとに向かう先が違うのは毎日通うのに大変でしたが、病院ごとの環境、雰囲気の違いなどを体験できてよい経験になりました。