教育×人 -リレー・エッセイ-

話し合い、耳を傾け、承認し、
任せてやらねば、人は育たず。

准教授 兒玉 安史

博士(薬学)、薬剤師、中高教諭1種免許

専門分野:毒性病理学、形態学、薬理学

知識や技術は、
使えてこそ意味のあるものに。

教育を考えるとき、山本五十六(1884-1943)の言葉を引用します。教員として、以下を心がけるべきと考えています。

「やってみて、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」

「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず」

「やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」

いずれも平易な言葉ですが、教員のひとりとして、これらの言葉はそのまま自身の姿勢を問う言葉にもなっています。教員は学生にその場しのぎの手法を教えるのではなく、常にその学生の将来を考えるべし。何でもかんでも手取り足取り教えるのではなく、教員の手が離れたあとでも困らないようにしてあげる・・・それが、人を育てることだと認識しています。例えば、研究指導において、十分に理解することなく、ただ手順通りの作業をさせるとどうでしょう?活動はしていても、思考が停止したままでは、本人のチカラにはなりません。1つひとつの作業の意味や目的について、十分な時間を割いて対話をする、議論をする。考えさせながら行わせる。学生自身の思考や理解の度合いを大切にして、学生の将来に思いを馳せながら、学生のチカラになるように行動しています。また、今学んでいること、これから学ぶことの意義や目的を伝えるように努めています。知識や技術は受け入れる(input)だけではなく、使うこと(output)ができてこそ意味のあるものになります。

薬学部進学を考えているひとへ

進路は可能な限り早めに考えることを勧めます。進学後、後悔しないように、薬学で学ぶことや薬剤師の職能、そして薬剤師の周辺の職種など事前にしっかりとリサーチしてください。大学入学は、ゴールではなく、大学卒業がスタートです。つまり、進路を考える際に卒業後の就職や進学などもよく調べ、ビジョンを立てておくことが望ましいと思います。また、高校時代に、苦手な学問があったとしても、薬剤師になるという強い意志があれば克服できると思います。学ぶこと全てに興味を持ってください。薬学での勉強は薬剤師国家試験合格が目標ではありません。将来薬剤師として必要な知識技能を身につけ、使えるようにするためです。視野を広く。常に前向きに。今、大学、薬学部への進学を考えているみなさんに贈ります。

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