教育×人 -リレー・エッセイ-

グローバルな視野をもち、ローカルに活躍。
生(いのち)をまもる(衛)薬の専門家を育てたい。

教授 瀧口 益史

博士(薬学)、薬剤師

専門分野:衛生薬学、毒性生化学

殻を破り、外の世界をみよう!後押しをするのは、教員の役目です。

教員は、「殻」を破ることを後押しする存在だと思います。我々は、中学高校生位で親(家族)の殻を破り、友達(グループ)との世界に踏み出します。さらに、大学では友達の殻を破り、一人で考え一人で行動する大人へと成長。また、日本という殻を破り、世界へ羽ばたく人や固定概念の殻を破り、新しい世界を構築する人もいるでしょう。教員は、学生に、殻の外には見たことのない世界があることを教え、外の世界に興味を持たせ、翔び出すことを促すことが重要だと考えています。
しかし、何をするのも友達や恋人と一緒という学生が多いのも現実です。早く殻を破って、外の世界を見て欲しいものです。学生たちを後押しする本学部の施策の一つとして、アメリカで138校ある大学薬学部のうち、ランキング第1位であるノースカロライナ大学への留学プログラムがあります。日本とは保険制度や文化が異なる中で社会的に高い地位を確立しているアメリカ薬剤師の実像に触れ、将来薬剤師として活躍する上でグローバルな視野をもつ契機となります。アメリカでは、医師の診断に基づいた薬物管理を薬剤師に一任されています。日本でも、薬剤師が薬物療法への主体的な参加を行うこと等提言されていますから、アメリカは、まさに一歩先を行っている場所。先進そして最新の薬剤師の業務そして教育を体験し、自身で殻を破って、グローバルな視野をもち、ローカルに活躍できる薬の専門家への道を拓いてほしい。そう、願っています。

環境と健康、この二つの単語をどう結ぶ?

専門分野でもある「衛生」は、「生(いのち)」を「衛(まもる)」ことであり、疾病を治療することよりも、疾病を予防することです。我々は、化学物質が生体に与える影響とそれに対する毒性を軽減する方策を研究。「予防薬学を通じて“いのちをまもる”」ことに主眼を置いています。このような視点を忘れないように学生に指導していくことが重要です。
薬剤師は、病院や薬局で働くだけでなく、行政(県庁など)で薬務官や衛生試験場の検査官、科捜研で鑑識官、厚労省管轄の麻薬取締官、輸入食品安全やレストランなどの飲食店の衛生を管轄する食品衛生監視員、学校薬剤師など、衛生関連業界で活躍する者もいます。衛生関連業界以外でも、製薬業界、食品業界、化粧品業界など活躍の場は広く、多岐にわたります。

 「Our environment.(我々を取巻く環境) Our health.(我々の健康)」 この二つの単語をどう結び付けるか、「関係ない」なのか「関係ある」なのか、また「関係ある」ならば「どれだけ関係(定量的)」があるのかに興味を持っていただきたいと思います。

食環境、生活環境、職場環境等のなかに、健康に影響する因子を見つけ、それに対する対策を講じることにより、人の“いのちをまもって”いきたいと考えています。「いのちのそばに、ひととともに」寄り添っている健康のまもり手である薬剤師を育てたいと思っています。

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