教育×人 -リレー・エッセイ-

人に、希望を与える
プロフェッショナルでありたい。

教授 山口 雅史

博士(薬学)、薬剤師

専門分野:細胞生物学、生化学

考える力を養うと、失敗もしなくなります。

勉強、研究は強制的にやらされるものではなく、自らが望んでするものです。そのため、学生が主体的に勉強、研究を続けるために、そのきっかけを与えること、そのための基本的な考え方について指導することを、私の責務と考えています。基本的な考え方とは、わかること、わからないことを明確にすることです。問題点に気づくことさえできれば、多くは既存の方法論を組み合わせていけば解決の糸口を見つけ出すことができます。そのために、「考える力」を養うことを重視しています。学生には、一つ一つのことを考えながら準備し、そして行動するように指導しています。また、実験に失敗したときは、なぜ失敗したのか原因を考え、次回は同じ失敗をしないように指導しています。その「なぜ」がわかれば、たいていの場合、同じ失敗はしません。失敗をする学生の共通点は、考える操作をしていないことにあります。しかし、改めて考える重要性に気づくと、別の失敗もほとんどしなくなります。

目の前の患者さんのことを思うと、生半可な気持ちでは取り組めない。

稀少疾患の国際会議での発表を行った時の事です。自身が取り組む「研究」が人に希望を与えるという意識を抱くようになりました。患者さんのみならず、家族から「病気の研究をしてもらえて、ありがとう」と言われました。それまで、研究は病気の治療や治療薬の開発に必要であると意識を持って行っていましたが、会議場で思いがけずいただいたお礼の言葉によって、自分たちの研究が彼らに希望を与えているという思いを強く抱くようになりました。目の前の患者さんのことを思うと、生半可な気持ちで研究に取り組むことはできません。多くの学生は研究志向ではありませんが、研究も、薬剤師という仕事も、患者のためにあります。現在の学生たち、そして、今後、薬剤師として活躍したいと望む人にも、希望を与え続けることができるプロフェッショナルを目指してほしいと思っています。

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