保健医療学部 医療技術学科 中山准教授らの研究論文が「Scientific Reports」誌に掲載されました。
<概要>
乳癌の罹患率は女性の癌の中で最も高く、現在でも増加の一途をたどっているため深刻な社会問題となっています。広島国際大学 保健医療学部 医療技術学科 中山准教授らは、軸索誘導因子とその受容体の機能に着目した癌治療薬の開発を行っています。本研究では、軸索誘導因子セマフォリン3F (SEMA3F)とその受容体ニューロピリン-2 (NRP2)に着目して乳癌を対象とした解析を行いました。マウス由来乳癌細胞株4T1細胞にヒトSEMA3Fを遺伝子導入して安定発現株を作成し、Balb/cマウス乳腺に同種移植して腫瘍への影響を検討しました。その結果、SEMA3F-4T1細胞移植マウスでは腫瘍増殖と腫瘍血管新生が低下し、さらに肝臓および肺への遠隔転移が抑制されることが明らかとなりました。また、SEMA3FはNRP2受容体を介して増殖に重要なAkt-mTORシグナルおよび転移に重要なTGFβシグナルを抑制して上皮間葉転換(EMT)を阻害することが明らかとなりました。今後はSEMA3Fを活用した抗腫瘍薬開発に向けた、さらなる基礎研究を行っていきます。
<論文情報>
論文タイトル
Semaphorin 3F inhibits breast cancer metastasis by regulating the Akt-mTOR and TGFβ signaling pathways via neuropilin-2
誌名、号、番号(年)
Scientific Reports. 15(1):7394 (2025)
著者
Hironao Nakayama, Akari Murakami, Hisayo Nishida-Fukuda, Shinji Fukuda,
Erina Matsugi, Masako Nakahara, Chiaki Kusumoto, Yoshiaki Kamei, Shigeki Higashiyama
論文掲載ページ