HAGAKURE(ハガクレ) 訪問記
生薬漢方診療学教室 4年生:小西由芽・植木啓公 教授:中島正光
呉市川尻町にオフィス兼ギャラリーを構え、日本伝統の打刃物を扱う株式会社HAGAKUREを訪問しました。ご多忙な中、平日のお昼過ぎに我々一行を快く迎え入れてくださったのはHAGAKUREの代表を務める村上由一さんです。
HAGAKUREは全国各地だけにとどまらず、世界各地からお客様が訪れ完全予約制で対応しておられ、一点物の商品について丁寧に説明し打刃物の良さを伝えています。さらにお客様と呉の街に出かけ、呉の魅力を伝えておられます。
到着するとまず、玄関にてHAGAKUREのシンボルデザインが描かれた暖簾が私たちを迎えました。門構えから立派で暖簾のデザインからもカッコよさを感じました。さっそくオフィス兼ギャラリーにお邪魔すると、匠によって創られた包丁たちと対面しました。どの包丁も一点もので美しさがあります。
せっかくの機会ですので、包丁の見学だけではなく代表の村上さんのお話をお聞きしました。村上さん自身の生い立ち、社会人生活、HAGAKURE立ち上げの経緯、そして現在のお仕事への姿勢など多岐にわたる内容のお話を聞くことが出来ました。
村上さんは大学生時代に一年間イギリスへ留学をしておられました。留学を経て一番の収穫は度胸がついたことだと話します。その経験が今現在、海外の取引相手ともハードルなく仕事を出来ている要因であると振り返りました。
HAGAKUREを立ち上げる以前は出版社でお勤めをされていました。仕事はとても厳しく、キツイものでしたが挫けずに仕事と向き合い技術を磨きました。そんな出版社時代に取材で訪れた打刃物の工房で黒崎優氏と出会い、黒崎氏から「僕の包丁を売りますか」との声掛けがきっかけでHAGAKUREを立ち上げることになりました。
HAGAKURE立ち上げのタイミングはコロナ禍でしたが、オンラインショップを駆使して実績を積み重ねていきました。留学での経験、出版社時代に磨いた文章力、デザインの仕方など色々な経験が今に繋がったとお話を聞かせてくださいました。
ギャラリーは完全予約制でお客様に包丁の説明を丁寧にしながら包丁販売しておられます。しかし、包丁を販売しておしまいなのはもったいないとの思いから呉の魅力も知ってもらうために呉を案内して魅力・良さを知ってもらう活動もしておられます。大和ミュージアムを見学したり、野呂山に行き街や瀬戸内の景色を堪能したりしてもらいます。特に呉の海上自衛隊の潜水艦などを船で見学する「夕呉クルーズ」は県外からのお客様に人気で海上自衛隊のラッパの音色と潜水艦、夕陽の景色にとても心が満たされるようです。
包丁の見学ではギャラリーに置かれている包丁に我々一行は興味津々で、匠による一点物の包丁の数々に心が躍りました。刃の形や紋様に職人の特徴がありその美しさを感じました。実際に包丁を手に取って見ると、思っているより軽く素材の良さを感じ、この包丁を使って料理をするとおいしい料理が出来合がると想像しました。さらにこの包丁を使うと料理をするのが楽しくなり、日々料理をすることが特別な時間になるように思いました。
今回の株式会社HAGAKUREへの訪問で包丁のことだけではなく、村上さんの今までのご経験をお聞きすることができ、とても有意義な時間となりました。自分の好みの包丁を探しにHAGAKUREへ再訪したい気持ちです。