Aeromonas veronii biotype sobria は、さまざまな水環境に棲息するグラム陰性桿菌で、バイオフィルムを形成します。臨床的にも、カテーテルなど医療デバイスに形成されたバイオフィルムが感染の起点となり、本菌が散発感染に関与しうることが指摘されています。当研究室では、感染の足場となり得るバイオフィルム形成機構を理解することが、感染予防・治療戦略の確立に重要であると考えています。
本成果は、バイオフィルム由来の外膜小胞(bOMVs)によるバイオフィルム形成促進が「小胞側」の要因だけでなく、「菌の運動性および表層構造(鞭毛)」と連動して成立しうることを示すものであり、バイオフィルム関連感染の理解と制御戦略の深化につながる知見です。
なお、本研究は日本学術振興会 科学研究費補助金事業の研究助成金(JP22K07081)の支援を受けて実施しました。また、広島国際大学(分子微生物科学研究室)に加え、横浜薬科大学および岡山大学の研究者との協働により推進しました。
Flagella of Aeromonas veronii biotype sobria promote biofilm formation by biofilm-derived outer membrane vesicles (bOMVs)
Seike S, Kobayashi H, Takahashi E, Okamoto K, Yamanaka H.
論文掲載URL: https://journals.asm.org/doi/10.1128/spectrum.02838-24

