Aeromonas 属菌は下痢症など腸管感染症を引き起こす病原細菌です。本菌はあらゆる環境下でバイオフィルムを形成します。臨床においても、本菌が医療機器にバイオフィルムを形成し、人へ感染する事例も報告されています。このように、バイオフィルム形成が起点となって感染が媒介されるケースも報告されていることから、本菌が形成するバイオフィルムの性質を知ることは、本菌感染症の予防法や治療法の確立に応用できると考えています。 今回の本研究成果は、Aeromonasのバイオフィルム形成が菌体外に分泌する外膜小胞 (Outer membrane vesicles : OMVs)によって媒介させることを示しています。今後は、更に詳細に分子機構を解析し、本菌のみならずグラム陰性菌感染症の新たな予防法,治療法の開発に役立てたいと考えています。 なお、本研究は日本学術振興会 科学研究費補助金事業の研究助成金(20K16255)により進めたものであり、岡山大学インド感染症共同研究センターと横浜薬科大学の研究者とも協働して研究を進めたものです。

 

Outer membrane vesicles released from Aeromonas strains are involved in the biofilm formation.

Seike S, Kobayashi H, Ueda M, Takahashi E, Okamoto K, Yamanaka H (2021) Front. Microbiol. 11:613650.

論文掲載URL: https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fmicb.2020.613650/full