昨今、漢方薬の処方頻度、服薬頻度が急増する一方、漢方薬の科学的研究も急速に進んでいます。漢方薬の有効性が医師、薬剤師によって実感されており、処方頻度が益々高くなっていくと考えられます。また、テレビ、新聞でも漢方薬がよく取り上げられ、多くの人に漢方の存在が広まっています。そのような中、漢方診療は薬剤師、医師にとって必須で、漢方薬の使用方法について多くのことを知らなければなりません。当教室では西洋医薬学の知識、技術を疎かにすることなく、大学の内外において実践的な漢方診療についての診断、臨床などの知識の習得ならびに研究を卒前および卒後教育として行います。漢方診療により疾患を治療したり、相談を受けたりする喜びを感じられる分野です。
さらに、もう一つの研究分野として創薬研究を行なっています。昔から、自然界に存在する植物・動物あるいは鉱物の薬効を示す部位を、医薬品として利用できる形にし、「生薬(しょうやく)」として使ってきました。生薬はまた、薬効成分が医薬品として利用されたり、その薬理作用と化学構造式をヒントに新たな医薬品が開発されており、「生薬学」は薬学の原点とも言える分野です。世界には、まだまだ珍しい植物や詳しい成分・薬効が不明な天然資源がたくさんあり、私たちは新薬開発につながる生物活性成分を探しています。「もしかしたら、世界で初めての物質」を発見できるかもしれないというロマンがある研究分野です。