和漢医薬学会の理事長である広島国際大学薬学部生薬漢方診療学部門・国立病院機構呉医療センター漢方診療科の中島正光が大会会長として開催しました。実行委員長は近畿大学薬学総合研究所の森川敏生先生にお願い致しました。実行委員も素晴らしいメンバーで行います。会期は2025年8月23日(土)~24日(日)、広島大学霞キャンパス・凌雲棟(りょううんとう)で開催しました。メインテーマを 『漢方Next Stage』、そしてサブテーマを『基礎と臨床の融合』 とし、特別講演、シンポジウム、ワークショップ、教育講演、海外招待講演など、多数の企画で開催しました。本学会には3つの融合があります。伝統医学である漢方と現代医学の西洋医学の融合、基礎と臨床の融合、医師と薬剤師の融合の3つの融合があるユニークな学会です。
漢方の歴史を振り返りますと、漢方を科学的に解明する、医学としての地位を確立するなどの課題を克服するために多くの先人の努力が払われてきました。1895 年に漢方医学は正統医学からはずれることになりました。しかし、その後の昭和の時代における多くの先生方のご努力があって今の漢方があります。そして、1984年に第1回和漢医薬学会学術総会が開催され、今年の本会で42回目となります。本学会は漢方を科学的に考え、新たなステージへの漢方を誘う役目があると考えています。いわゆる漢方を科学する学会です。新たなステージへ向かう気持ちを込めて本学会のメインとサブテーマは『漢方Next Stage』、そして漢方を科学的に解明し、臨床に役立てることを考えて『基礎と臨床の融合』としました。そして、日本の『伝統医学である漢方が西洋医学の融合』により世界に類を見ない医学になることを夢見ています。
加えて、本学会にはもう一つの融合があります。『医師と薬剤師の融合』です。この融合によって素晴らしいユニークなアイデア、より臨床に即した研究が可能になると考えております。世界に目を向けますと、生薬を使う伝統医学は臨床面でも科学的な面でも世界的に大きな広がりを見せています。そして、関連する研究論文の数も年々増加しております。生薬の薬能、漢方の臨床を科学的に研究解明する役目として医師と薬剤師が協力する本学会の役割は益々大きくなっていると考えています。そのため、第42回学術大会では、基礎的研究の講演・シンポジウムと研究を刺激する臨床的な内容を持つ講演・シンポジウムだけでなく、さらに研究のシーズ(種)になる講演、薬草そのものについての講演、臨床研究のワークショップなども企画しました。本学会が提供する多彩なプログラムを皆様に堪能していただきました。
2025年の第42回の学術大会がNext Stageを夢想う学術集会になったことを嬉しく思います。会員の先生方はもちろん、生薬・漢方などにおける研究、臨床、教育に関わる多くの皆様にご参加いただき感謝しております。