論理的に判断できる救急救命士を育成していきたい
- 修士(学術)、救急救命士 (講師)
- 江川 健太

私は救急隊員・救急救命士として、消防機関で19年間勤務していました。消防機関で勤務しながら学会等に参加する中で、救急救命士による研究の重要さに気付き、大学教員となりました。
特に消防機関で勤務する救急救命士は今後、女性職員の増加や、定年延長による高齢職員の増加といったことに対応していかなければなりません。そのためには、救急活動をより効率化していくために救急活動を客観的に分析できる人材が不可欠です。卒業研究や実習を通じて自ら課題を発見し、解決していく能力の育成に力を入れたいと考えています。
また、2025年の「救急救命士標準テキスト」の改訂にあたり、「臨床推論」という言葉が登場しました。救急現場における臨床推論は、119番通報の内容や傷病者等から得られる身体所見・情報から緊急度や病態を解釈していくことであると考えています。2024年から医師の働き方改革が始まり、救急救命士による救急現場での搬送先病院の選定がより重要になったと言えます。地域における搬送先医療機関といった医療資源は様々ですが、限りある医療資源の中で傷病者を適切な医療機関へ搬送するために、救急救命士の臨床推論の能力向上は欠かせません。実習で教員が付与する患者想定や学生自身が作成する患者想定を通して、傷病者等から適切に情報や所見を取り、論理的に判断できる救急救命士を育成していきたいと考えています。