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救急救命学科

救急救命士が行うことのできる救急救命処置は増え、消防以外にも活躍の場が広がってきています。働く場によって異なる多様なニーズに答えることのできる「できる救急救命士」を目指すことが重要です。

博士(医学)、医師 (教授)
津村 龍
救急救命士が行うことのできる救急救命処置は増え、消防以外にも活躍の場が広がってきています。働く場によって異なる多様なニーズに答えることのできる「できる救急救命士」を目指すことが重要です。

私は救急救命士ではなく医師ですが、救急医として、あるいは脳神経外科医として、常日頃から救急隊の方と接しています。受け入れる病院の医師として、救急救命士養成所や消防学校の非常勤講師として、ドクターヘリのフライトドクターやDMAT、被ばく医療対応医師として等々、その接し方や立場は様々ですが、医師になってからいつも救急隊とは緊密な関係で働いてきました。

医師である私に救急救命学科の教員として求められている役割は、病院前での活動が主である救急救命士の目線からのみではなく、「病院前に行われる救急隊活動と病院収容後に行われる医療を一連のものとして捉え、個々の症例において救急救命士がどう活動すれば患者に最善の医療を提供できるか?」という視点から指導することと考えています。

2021年10月に救急救命士法が改正され、病院内においても医師の指示のもとで救急救命処置を行えることとなりました。いわゆる「院内救急救命士」として病院内で働くという選択肢も増えたことから、消防に就職せずに病院に就職する卒業生も増えてきています。院内救急救命士に求められる知識や技術は、これまでの救急隊に求められているものとは異なる部分があり、医師や看護師、その他のコメディカルとコミュニケーションをとりながらチームの中の一人として働くといったスキルも求められます。今後も救急救命士が行える救急救命処置が追加されたり、消防以外へと活動場所が拡大したりすることで、求められるスキルも変化し多様になっていくものと予想しています。

救急救命士資格を取得するためには、専門学校で取得する、消防に就職後に救急救命士養成所で取得するといった手段もありますが、4年制大学である広島国際大学で学んで取得するメリットは、医療をより深く理解し、医学的な根拠を持って判断する力を身に着け、将来的に救急救命士の役割が変化しても柔軟に対応できるだけのスキルを身につけられる点にあると考えています。4年間学ぶことで、院内救急救命士として働くのに必要なスキルも十分身につくはずですし、今後、救急救命士に求められる役割や活動場所に変化があっても自信を持って対応できるはずです。

広島国際大学 保健医療学部 救急救命学科は救急救命士資格取得を目指す学科ですが、これは正しくもあり、間違いでもあります。平成5年度の時点で全国の消防には既に4万人以上の救急救命士資格取得者がおり、持っているだけですごい資格ではなくなりました。医師免許を持っている医者に優秀な医者と平凡な医者がいるのと同じ様に、救急救命士もその知識、技術には個人差があります。単に救急救命士資格を取得すること自体を目標にするのではなく、「できる救急救命士」を目指さなければいけません。救急救命学科で4年間学ぶことで、「できる救急救命士」になるために十分な知識、判断力を養うことができ、自ずと国家試験合格に必要な学力も身につくはずですので、一緒に学んでいきましょう。

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