2017年11月30日

中国の介護保険制度設計担当者から概要と展望を学ぶ講演会開催

11月15日、中国人力資源・社会保障部(日本の厚生労働省に相当)社会保障研究所の金維剛所長を招き、「中国における介護保険制度の発展概要」をテーマにした講演会を開催しました。医療福祉学科生のほか、学外の福祉施設からも参加がありました。

金氏は中国の介護保険制度設計を担当しており、このたび、他国に先んじて超高齢社会を迎え、アジアで初めて介護保険を導入した日本の事例から学ぼうと、同研究所のメンバーらと来日。東京で厚生労働省などを訪問したのち、国が示す方針を受けて地方自治体がどう実践しているかを知るため、福祉のまちづくりに力を入れる東広島市にヒアリングを実施することとなり、本学での講演が実現しました。

中国は2000年代初頭から、高齢化の進展と介護ニーズの高まりにより、一部の自治体が先行して介護保険制度を導入してきました。しかし、地域によって経済格差が激しいことなどから、対象者やサービス内容、自己負担額に差が生じています。さらに、介護保険が独立せず医療保険のなかで賄われていることも、対象者やサービスを限定する要因になっています。
中国の介護保険制度の現況や問題点を紹介したのち、金氏は、
「民間の保険制度と同時並行するなど連携しながら、医療保険に頼らない制度を成立させて、保険対象の範囲をすべての人に拡大することを目指す」
と、今後の展望を語りました。

「日本の導入事例から学ぶことは多い」と金氏

真剣に聞き入る参加者

学生にとっては、国の置かれた状況によって異なる介護保険の実情を知り、視野を広げる貴重な機会となりました。

広報室