2018年04月26日

海外研修体験と留学生の講演から学ぶアメリカの薬剤師の役割

4月4日、日本での研修で広島に滞在し、薬局見学などを通じて日本の薬剤師の役割などを学んでいるアメリカ・マーサー大(ジョージア州)とテネシー大(テネシー州)の留学生を呉キャンパスに招き、国際交流講演会を開催しました。

両大学との交流は2007年度から。広島大学病院薬剤部が主催する両大学への海外研修に本学薬学科の学生(希望者のみ)を派遣するほか、研修で日本を訪れた両大学の留学生を本学に招き、交流を深めてきました。さらに2015年9月にはマーサー大と、10月にはテネシー大と学術交流協定を締結しています。

講演会では本学の6年生と留学生がそれぞれ発表を行いました。
広島大生とともに行ったマーサー大とテネシー大の研修は、通訳がつかない語学力も求められるものでした。参加した庄司大輔さんと市川沙奈恵さんは、24時間体制で集中治療室に薬剤師が常駐していることや、投薬ミスを防ぐためのバーコード管理などを目の当たりにし、日本との違いに大いに刺激を受けたようです。
また、2014年3月に学術交流協定を締結して以降、国際実務実習研修を毎年実施しているノースカロライナ大で研修を行った6年生6人(伊藤貴文さん、柏木捺妃(なつき)さん、竹本夕佳さん、田中優理さん、橋本彩夏さん、松島加苗さん)は、専門的な資格を持った薬剤師が患者に直接処方箋を発行し調剤を行えるなど、薬剤師の地位が高いことに驚いたと報告しました。
発表の中で市川さんは、
「今後さらに自身の専門性を高めて、日本にアメリカの先進医療の導入を提案できる人材を目指したい」
と高い志を見せていました。

海外研修の成果を発表する庄司さんと市川さん

続いて、マーサー大とテネシー大の留学生から、自国における病院や地域医療における薬剤師の役割、薬学部のカリキュラムや実習内容など教育の現状について、発表がありました。
マーサー大のAhmed Koudousさんは、同大薬学部の特色ある教育を発表。現場での実践力を高めるため、病院など各所で計9カ月ほどの実習を行うそうで、海外研修先も日本、オーストラリア、バハマ、ケニア、スコットランド、スペイン、イングランド、ヨルダン、インド、フィジーと豊富。参加する学生は広い視野で薬剤師のあり方を学ぶことができます。こうした実習や研修に参加するためにはGPAで一定の評価を得ておく必要があり、レベルの高い学生が日々切磋琢磨しています。
テネシー大のSam Slaughterさんは、アメリカでは地域薬剤師は患者に寄り添い、多様なニーズに合わせて活動する一方、病院薬剤師は救急医療や感染症対策など高度な専門知識を必要とされるなど、薬剤師の活躍の場が多岐に渡っていることを紹介しました。

アメリカでの薬剤師の役割を紹介するテネシー大のSam Slaughterさん

講演会は、本学の学生にとって、アメリカでの薬剤師のあり方について理解を深め、日本の薬剤師の現状などを見つめ直す貴重な機会になりました。

広報室