2019年07月17日

広島の地で日本とカザフスタンの環境汚染による健康問題を考えるシンポジウムを開催

7月1日、本学広島キャンパスで「第1回ヒロシマ・カザフ国際医学シンポジウム」を開催しました。

本シンポジウムは、旧ソ連が実施した450回以上の核実験による被曝が社会問題となっているカザフスタンで、2003年から被曝者の検診を続けるなど、現地とかかわってきた医療経営学科客員教授の野宗義博氏が企画。今春から常勤医となった邑智病院(邑南町)に古くから交流のあるカラガンダ医科大病院の外科医2人が、日本の医療技術を学ぶため研修に訪れていたことから、各地より専門家を招き、「現在の環境汚染と健康問題」をテーマに本シンポジウムを開催する運びとなりました。

モニカ シルモイ教授(同学科)は、母国・ハンガリーの化学産業などによる深刻な大気・水質汚染について解説。外科医2人からは、カザフスタンで蔓延する症状のうち、HIVを取り巻く現状や黄疸などといった症状への同医科大病院の対策について、情報共有がありました。
また、カザフスタンの中でも、主要な核実験場とされていたセミパラチンスクで、被曝者への医療支援や民間交流を行ってきた「ヒロシマ・セミパラチンスク・プロジェクト(略称ヒロセミ・プロジェクト)」から副代表の小畠千恵子氏が登壇。現地に医薬品を届ける医療支援のほか、講演会などを通じた啓発活動、現地から日本への留学希望者の受け入れなど、幅広い取り組みを紹介しました。
このほか野宗客員教授が、東日本大震災で発生した福島第一原子力発電所事故後の8年間、若年層の甲状腺がん発症状況を、統計データを用いて説明するなど、カザフスタンおよび日本などでの環境汚染と健康問題について、多様な視点からの話題が共有されました。

シンポジウムを主催した野宗客員教授
カザフスタンの病院の現状などについて解説するデュセノフ・ガリマャン医師

広報室