2019年08月09日

難病看護を学ぶ授業でパーキンソン病患者からこれまでの歩みや今の思いを聞く

7月29日、看護学科3年生対象の授業「難病看護論」で、パーキンソン病(※)を発症しながらも力強く生きる2人をゲストに招き、これまでの人生や今の思いなどをお話いただきました。

本授業は、本学独自の科目です。臨床現場で看護師として10年以上、主に神経難病患者と向き合い、全国のパーキンソン病患者とかかわりを持ってきた担当教員の秋山智教授(看護学科)は同授業で、国の難病対策の概要、患者や家族が抱える課題などを挙げ、学生に難病への理解を促しています。今回は、難病患者とその家族の現状や問題点について学んできたことの集大成として、若くしてパーキンソン病を発症した若年性パーキンソン病の方々に、難病を発症して今に至るまでの当事者の思いなどを聞くことで、難病患者に向き合う医療人として必要な心構えを養いました。

1人目に登壇したのは、全国パーキンソン病友の会広島県支部呉地区に所属し、病気のことを広く知ってもらう活動を続けている飯田恵美子さんです。飯田さんは40歳で告知を受けたとき、なかなか認めることができなかったと言います。「主治医の先生や周囲にもきつく当たっていた」という彼女が立ち直れたのは、自分を理解したり支援してくれる人との出会いや触れ合いでした。今では、パーキンソン病患者が気軽に楽しみながら、症状を和らげる体操などを定期的に集まって実施する「PD Café」の運営に参加するなど、ポジティブに活動しています。「患者はその病気の専門家」と、現状をプラスに捉えて歩む姿勢に、聴講した学生は感銘を受けました

「すべての出会いに感謝している」と話す飯田さん

2人目は、およそ15年前にパーキンソン病と診断され、失意の中でも立ち上がり、妻のきなこさんと音楽ユニット「げんきなこ」を組んで活動する元気さんです。彼もまた、人とのつながりが気持ちを救ってくれたと言います。「人生には前を向いて生き続ける限り、挫折があっても必ず幸せの波が訪れる。私はそんな、『幸せ量保存の法則』を信じている」と語る元気さんは今、とても生き生きと音楽作りを続けています。この日披露された楽曲は、同じ病気に苦しむ患者に寄り添うものや、東日本大震災に端を発した原発事故の被害者を思うものなど、誰かを思って作られたものが多くあり、歌詞に込められたメッセージを追いながら真剣に耳を傾ける学生の姿がありました。

パーキンソン病とともに歩んだこれまでを振り返る元気さん(写真左)。右は妻のきなこさん

最後には、「げんきなこ」の楽曲を代表の学生・教員が混じって合唱し、教室は一体感に包まれました。

最後は代表の学生・教員も前に出て大合唱!

広報室

※パーキンソン病とは ・・・神経系の疾患で、現代の医療では治療法が確立されていない難病に指定されている。手足の震えなどの症状に始まり、重度になると車椅子や寝たきり生活を余儀なくされることもある。