2019年11月21日

米国・ノースカロライナ大からゲストを招き日米の薬剤師の役割変遷を学ぶ卒後教育研修会を開催

11月14日、本学薬学部が、卒業生に日米両国の薬剤師にかかる最新情報や事例を提供し、学びの一助としてもらう卒後教育研修会を開催しました。今回は特別に、学術交流協定校で米国の名門・ノースカロライナ大(ノースカロライナ州)の、デニス・ウイリアムズ先生(同大薬学部、薬物療法・実験治療学部門・副所長)による講演もあり、卒業生以外の薬剤師の方にも門戸を開き、学生・教員を含めた202人が参加しました。

始めに三宅勝志教授が、「日本における薬剤師事情」をテーマに講演。医薬分業から拡大してきた薬剤師業務には、治療への主体的な関与やかかりつけ機能なども求められるようになり、薬剤師が人々の健康を支えるのになくてはならない存在となっていることについて、自身の薬剤師としての経験を踏まえて説明しました。

医薬分業に基づいた薬剤師業務の現状について説明する三宅教授

続いてウイリアムズ先生は、「臨床薬剤師の役割変遷―米国での50年の歴史」と題し、薬剤師が高い社会的地位と責任を有するに至った歴史を紐解きました。特に近年、米国の医療は2010年に示された医療保険制度改革(通称オバマケア)により、質的転換に向けて大きく舵が切られました。これにより薬剤師も役割の変化が期待され、学校教育に加えて卒後教育として薬剤師研修プログラムが導入されたり、特定領域に特化した専門性の高いスペシャリティー薬剤師資格が急速に増加するなど、高度化してきました。「薬剤師はいまや医師に並んで、あらゆる場面で患者の健康管理にかかわる、チーム医療に必須のメンバーとなっている」とウイリアムズ先生は結びました。

「我々は薬剤師の価値を高めるために努力を惜しまなかった」とウイリアムズ先生

現場で活躍する薬剤師や学生にとって、日本と米国における薬剤師の歴史や現状を知る機会は少なく、知識やモチベーションの向上に繋がりました。研修会は終了予定の時間を過ぎても質疑が続くなど、聴講者の高い熱量が感じられるものでした。

会場を移した懇親会でも熱心に質問をする学生

ウイリアムズ先生は、
「米国の薬剤師業界が切り開いてきた、活躍領域の進展を伝えられたなら嬉しい。広島国際大との10年以上におよぶ連携で、向学心にあふれる学生の姿を見てきました。今後も研修プログラムを継続し、薬学分野の発展に貢献したいです」 と、今後の連携に意欲を示しました。

広報室