2012年11月30日

特別じゃない映画の特別な映画祭~バリアフリー映画祭~

11月24日(土)、広島県立美術館において、バリアフリー映画祭が行われました。
バリアフリー映画とは、通常の映画に音声字幕と副音声を付加し、
障がいのない方、聴覚障がいのある方、視覚障がいのある方が同じ場所で同じ映画を楽しめるようにしたものです。


↑ バリアフリー映画催告知用のチラシです

今回の映画祭は、あいサポート運動の一環として行われました。
あいサポート運動とは、障がいを持った方への手助けや、
誰もが暮らしやすい共生社会の実現のために広島県を挙げて行われている運動です。

当日は朝早くから、職員の方や学生スタッフ一同で会場の準備をしていました。
上映された映画は全部で3本で、すべての映画に音声字幕と副音声がついています。


↑ 受付ほかあらゆる場所で学生が大活躍していました

実際に映画を鑑賞された方にインタビューしたところ、
障がいを持っている方と障がいを持っていない方とでは少し感想が異なっていました。
障がいをもっていない方の感想は、
「普通の映画のように鑑賞できた。字幕がでるので聞き逃しがなくて助かる。」
などあまり違和感なく見ることができたようです。

一方、私がインタビューした視覚障がいの方は、
「副音声だけだと様子などが伝わりづらい。もっとリアリティのある副音声にしてほしい。」とおっしゃっていました。
この方は普通の映画館にもよく足を運ばれているようです。
普通の映画館ではバリアフリー映画の数自体が少ないとのことで、
どうやって映画を見ているのか聞いたところ、事前に本を読んだり、
ラジオやテレビから流れてくる映画の情報を集めて、
いつも私たちが映画館で見る映画と同じ映画を映画館で見ているのだとおっしゃっていました。


↑ 会場の様子

映画の合間にはパネルディスカッションもありました。
そこでは視覚障がい者や聴覚障がい者のために手話や文字か出るパネルなどを使っていました。
ディスカッションの中ではバリアフリー映画の今後の在り方や副音声の限界など様々な問題が取り上げられました。

 
↑ 手話をする学生と文字が出るパネルが補助で用意されていました


↑ パネリストの皆さんから貴重なお話をいただきました

私は今回のバリアフリー映画祭を取材して、バリアフリー映画は決して特別なものではないと思いました。
障がいを持つ方も持たない方もみんなが同じように感動したり、楽しんだり、笑ったりできるのがバリアフリー映画です。
みんなが同じ感動を共有できるのは当然のことであると思います。
いつか、今回のような「イベント」として「特別な場所」の「特定の日」に行われるのではなく、
普通の日に普通の映画館で音声字幕と副音声付きの映画として扱われることを期待しています。


↑ 学生スタッフの皆さんです

学生広報スタッフ 医療福祉学科1年 下原圭太