2013年07月30日

大学・地域連携の視点から地域福祉を考えるセミナー開催

7月11日(木)、東広島キャンパス121教室にて、医療福祉セミナーを開催しました。
テーマは『離島過疎地域における地域福祉の実践―大学・地域間連携の視点から―』です。
今回のセミナーでは前半に講演、後半にシンポジウムを開催しました。

セミナー講師には、愛媛県今治市社会福祉協議会玉川支部長の島崎義弘さんをお招きし、
愛媛県今治市関前地区における地域福祉の実践、本学との連携についてお話いただきました。
島崎さんの講演の後には、本学医療福祉学部4年生の藤本静香さんに関前地区での実習、
今年度から「チャレンジプロジェクト」に統合されたSSP(学生と地域社会のパートナーシップ活動)のことについて話していただきました。

シンポジウムでは、シンポジストとして関前地区の自治会長である岡部紘一さん、藤本静香さん、
医療福祉学部の渡辺晴子准教授、コーディネーターとして医療福祉学部の矢原隆行教授に
大学・地域間連携についてお話いただきました。

 

当日は、行政、社会福祉協議会職員など外部からの参加者や、本学学生を合わせて約160名の参加がありました。

島崎さんからは、離島に住む人々が安心していきいきと暮らせるための地域福祉のあり方、
大学と地域の連携による地域福祉、今治市関前地区の取り組みについてのお話を伺いました。
関前地区の高齢化率は63.3%と超高齢社会になっており、高齢者中心の地域ですが、
日々の生活は自立していること、
関前地区には「こうろく」「おすそわけ」のような「助け合いの文化」が今でも残っていることをお聞きしました。
社会福祉協議会として、
地域住民の新たな共同を目指す目的でタイムダラーボランティア(地域通貨)「だんだん」の活動を実施したが、
島内の人だけで支えていくシステムには限界があり、島外からの支援や社会資源との連携など、
「新しいコミュニティの創造」が必要になっていることを伺いました。
島崎さんは、今後大学との連携が重要になってくると話されていました。

藤本さんからは、関前地区での実習では、島に家を借りて生活しながら実習に取り組んでいたこと、
小中学生のお母さんと一緒にバレーボールをしたこと、
地域住民の方が暖かく見守り、受け入れてくれたことをお聞きすることができました。
また、SSPについての話では、連絡調整の大変さもあったけれど、
地域住民の方と交流ができて、顔見知りになり気軽に声をかけあえる間柄になったことをお聞きしました。

後半のシンポジウムでは、「地域福祉活動の実践」に対して地域と大学との連携について、
それぞれの立場、視点から話していただきました。
地域住民代表として、岡部さんは大学生が地域に来て活動することのありがたさ、
大学生との協働活動を通じて関前地区の高齢者の方が元気になったこと、
地域住民として大学生をどう支援していくことができるか、について話されていました。
大学生との関わりについて、その場限りで終わってしまうのではなく、
ずっと関係が続くように地域として、どう手助けができるかを考えられているようです。

話にうなずいたり、真剣にメモを取っている参加者の方々が印象的でした。
セミナーを通して、大学と地域の連携の楽しさや難しさを学ぶことができました。
大学と地域が連携をすることで、
大学が離島過疎地域における地域福祉にどう取り組んでいけるかを考えることが大切だと思いました。

医療・福祉科学研究科 医療福祉学専攻1年 大野詠子
医療・福祉科学研究科 医療福祉学専攻1年 黒潮めぐみ