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シリーズコラム『保育士のお仕事~多様な活躍の場が展開されている保育士~』

第1回「多様な現場で活躍が期待されている保育士」
就きたい職業-高い「保育士」人気

 毎年、さまざまな調査団体によって、「就きたい職業ランキング」が公表されます。たとえば、「一般社団法人全国高等学校PTA連合会」と「株式会社リクルートマーケティングパートナーズ」による合同調査「第6回 高校生と保護者の進路に関する意識調査2013」http://souken.shingakunet.com/research/2010/07/post-7a54.htmlの調査項目のなかに、「就きたい職業」のランキングがあります。対象は、高校2年生(9都道府県の公立高校27校)です。「全体」(1,425名)では、第1位「公務員」、第2位「教師」、第3位「看護師」、第4位「保育士・幼稚園教諭」、第5位「技術者・研究者」となっています。男女別でみると、「男子」(605名)では、第1位「公務員」、第2位「教師」、第3位「技術者・研究者」、第4位「建築設計士」、第5位「製造・加工・組立」となっており、「女子」(802名)では、第1位「看護師」、第2位「保育士・幼稚園教諭」、第3位「教師」、第4位「公務員」、第5位「事務」となっています。

 また、もっと小さな子どもたち(全国の未就学児及び小学生)1,100人を対象とした「第一生命保険株式会社」による「大人になったらなりたいもの」アンケート(2013)では、「男子」の1位は「サッカー選手」、2位「野球選手」、3位「食べ物屋さん」「消防士・救急隊」「学者・博士」が同率で並びました。「女子」では、1位「食べ物屋さん」、2位「保育園・幼稚園の先生」、3位「お医者さん」となっています。女子の「保育士」人気は、高いようです。

 みなさんは、「保育士」と聞いて、どのようなイメージを思い浮かべたでしょうか?小さな子どもたちと元気いっぱいに遊んでいる保育士さん。子どもたちの背中を優しくトントンして寝かしつけている保育士さん。おそらく、みなさんは、「保育士」という資格に対して、小さな子どもたちのケアを行う専門職、というイメージを持っているのではないでしょうか?先の調査でも、「保育士・幼稚園教諭」、あるいは「保育園・幼稚園の先生」という選択項目であるように、“保育園の先生”を一般的に思い浮かべるのだと思います。

 しかし、実際には、保育士の職域は広く、たとえば、虐待を受けた子どもたちが暮らす乳児院や児童養護施設、DVの被害から逃れた母子が安心・安全に暮らしながら、これからの生活を組み立てていく母子生活支援施設、障がいのある子どもたちの療育・生活支援が行われる児童発達支援センター、その他、児童館児童自立支援施設情緒障害児短期治療施設など、0歳から、おおむね18歳までの子どもたち、およびその保護者の支援を行う機関・施設があります。まさに、“保育士”のお仕事は、幅広い年齢層の子どもたちとその家族を対象に、多様な広がりを見せています。

保育ソーシャルワーカーの養成
広島国際大学・医療福祉学部・保育学専攻では、
豊かな人間性を土台に、専門的な学びを深めながら、保護者や地域と連携した
「子育て・子育ち・親育ち・地育ち(ちそだち)」支援のできる保育士を養成しています。

 現在、保育士には、“ソーシャルワーク”を実践することが求められています。ソーシャルワークと聞くと、「社会福祉士」のお仕事では?というイメージがあるかもしれませんが、保育の現場においても、“ソーシャルワーク”の視点をふまえた支援が不可欠です。必ずしもソーシャルワーカー(たとえば、社会福祉士などの有資格者)でなくても、“ソーシャルワーク”の視点は必要なのです。

 

求められる“ソーシャルワーク”の視点とは?

 それでは、“ソーシャルワークの視点”とは、なんでしょう?

 私たちは、毎日、生活するなかで、“誰か”や“何か”から影響を受けます。学校に行く前に、お母さんと喧嘩した。イヤな気分のまま、学校に行く。友達は悪くないのに、八つ当たりをしてしまった、なんてことは、ありませんか?お母さんと喧嘩したことが、喧嘩とは無関係であるお友達との関係に影響を与えてしまう。このようなことは、日常茶飯事です。大好きなアイドルの写真が、雨にぬれて、破れてしまった。悲しくなって、気持ちがどんより。明日は、大事なテストなのに、勉強に身が入りません。私たちは、日々の生活のなかで、“誰か”や“何か”の影響を受け、私たちも、また、“誰か”や“何か”に影響を与えているのです。このお互いに影響を与え合う関係性に目を向けて、その関係性の調整をすることで、問題解決を図ったり、豊かな生活を実現する・・・ということがソーシャルワークなのです。そして、この関係性に目を向けることが、ソーシャルワークの視点をふまえる、ということになるのです。

 保育の現場では、子ども同士、子どもと保育士、保育士同士、子どもと保護者、保護者と保育士、保護者同士、子どもと自然環境、地域の環境・・・など、数えればきりがないほど、さまざまな関係性が展開します。

 その関係性が、心地よいものであるように、心地よい関係性のなかで、子どもも大人も成長していけるように、それを実現できる専門職としての保育士が求められているのです。親の“子育て”を支えることが、子どもの“育ち”を促進し、子どもと一緒に親も“育ち”ます。そしてひいては、地域社会が豊かになる地育ち(ちそだち)”につながっていくのです。

 

医療福祉学部 岡本 晴美

最終更新日:2014年10月7日