心理学科

よくある質問

よく寄せられるお問い合わせ・ご相談にお答えいたします。

心理学とは、具体的にどんなことを学習するのですか?

私たちは、状況に応じて様々に感じたり、思ったり、考えたり、ふるまいます。 一人の時、友達とおしゃべりしている時、先生に呼ばれて話をする時、初対面の人と話す時など、状況によって自分や他人の言動は、異なり、使い分けていることが多いと思います。

また、授業中、同じ状況にいても、一人ひとりの気持ちや考え、行動などは、多くの人に共通している(静かに聞いている)ところもあれば、個人で違うところ(つまらない、面白い等)も、あります。 このように、場によって示す言動が違う、ある状況でも、人が違えば、感じること、示す行動が違う、年齢や経験など多様な要因でも異なります。 よって、心理学は、人がすること、思うこと、感じることなら、ほぼ全て心理学の対象となる学問で、人間がなぜこのように行動するかを理解し、説明することがまず大切です。

そして、人の心や行動を理解し、必要に応じて予測し、悪い状況が起きないようにコントロールすることができる学問です。 例えば、ストレスがたまった人を少なくするためには、ストレスを理解し、どのような人が抱え込みやすいか、早期発見にどのような工夫をしたらよいか等に活用していくイメージの学問です。

高校生のうちにやっておいた方が良い事はありますか?

大きく、2点あります。

1つは、本心から好きなこと、熱心になれることに打ち込んだり、心を動かされる体験をしたりし、その気持ちを言葉にできるようにしておくことです。 熱心になれることは、音楽、スポーツ、その他、反社会的なものでなければ何でも構いません。その中で、多様な人の生き方に自分を重ねて考え、誰かと話すことです。 心を動かされる体験とは、誰かを好きになったり、自分や他人の為に一生懸命になったりすることだと思います。つまり、自分ではどうにもならない心、相手に届かない心、そういう苦しみやもどかしさを知ることです。それは、悩んでいる人の心情と似た部分があります。ただ、本心からでないと意味がありません。

2点目は、自分とは違う他人の考えを知る(知らない世界や知らない感じ方を知る)ことを興味深いと感じ、面白いとか、学びたいと本心から思える気持ちを持てることです。 自分と違う性格、経験、感情、考えを持つ人の心を理解するのは難しいと思いますが、大切なのは、“自分とは違う、別世界”と切り捨てるのではなく、自分にはないものを持っていて、未知の体験を知っている人と敬意を払える姿勢で、心の多様さを感じ取ってほしいと思います。心理学の勉強は、大学に入ってからで十分です。

心理学は社会のどのような場面で活かされていますか?また心理学を学ぶことで、どのような進路を目指すことができますか?

心理学を学ぶことは、社会の様々な分野での活躍の可能性を拡げます。社会で「人と関わること」は、どのような職種でも必要とされるためです。良好な人間関係を築くためには、心理学の知識や技術が役立ちます。それは、心理的支援の場面でも、職場の同僚や仲間とのやりとりでも必要です。

将来の就職と学び、そして進路についてご説明します。

<医療・福祉分野>

医療・福祉に関連する就職では、病院や福祉施設などで、心理学の知識や技術を活かした仕事に就いています。病院などで心理的支援(カウンセリング)や心理検査に携わる先輩も数多くおり、ほとんどが大学院に進学し、臨床心理士や公認心理師の資格を取得しています。これらの仕事には、心理演習や心理実習での学びが活かされています。

また、医療事務や受付などの業務、福祉施設の職員として介護や福祉に携わっている人もいます。児童養護施設などで、児童や乳幼児への発達支援を行う指導員や支援者、また児童自立支援施設などで、問題行動を持つ青少年の自立・更正を支援する指導員として働く場合、発達心理学や司法・犯罪心理学、コミュニティ心理学などの知見は、大変重要です。

<公務員>

各自治体が採用する公務員の「心理職」として採用され、各自治体の子ども家庭センターなどで児童虐待の対応や保護、虐待防止の啓発活動などに携わります。また、家庭裁判所調査官も心理学を活かせる公務員です。調査官の主な業務は、離婚、親権者の指定・変更等の紛争当事者や事件送致された少年及びその保護者を調査し、紛争の原因や少年が非行に至った動機、生育歴、生活環境等を調査し、解決を支援することなどです。裁判は、一見心理学とは関係ないように思われるかもしれませんが、家庭内の問題や少年非行では、法律的な解決を図るだけではなく、事件の背後にある人間関係や環境を考慮した解決が必要とされ、心理学の学びが必要とされるのです。

<一般(民間)企業>

一般(民間)企業でも、心理学の学びを活かした活躍の場はたくさんあります。

1.小売・卸売業
物を販売する小売・卸売業では、消費者のニーズを心理面から把握し、顧客の満足度やサービスの質を高めた商品の販売を行うことにつながります。人間の消費行動は、時間や場所、宣伝方法によって大きく左右されます。これらを消費者心理学や社会心理学を通して、活かし方を学びます。医薬品販売業(ドラッグストアなど)、自動車販売(ディーラー)、アパレル(販売、製造)、デパート、スーパーマーケットなどが活躍する分野です。

「人と接する」ことにより、顧客や周囲の人々、同僚と心の通った社会人としての活躍が期待されます。

2.サービス業
サービス業では、社会の急速な変化に対応した、こころを大事にしたサービスを提供する仕事を行っています。サービス業は人と人とのつながりが、成功の鍵です。表面的な対応ではなく、相手の立場に立った視点と対応が必要とされます。ビジネス演習などのコミュニケーションプログラムで、実践的な技術を学びます。学外実習でも各業種の企業へ訪問し、ノウハウを学びます。具体的には、旅行業(ホテル、旅館、JR などの交通関連)、外食産業(レストランなど)、冠婚葬祭業(ブライダル関連)などが主要な分野です。他にも、金融機関(銀行など)、農協、郵便局などの地域の核となる機関で働き、人と人を間接的につなぎ、社会に貢献する仕事に就くことができます。

3.人事・総務に関する仕事
一般企業に就職し、消費者と直接対峙しない、人事や総務などの部署で仕事をする際にも、心理学の知識は活かすことができます。特に、人事の仕事は、従業員一人ひとりの適正や希望を考慮し、職場の配置や異動などを検討します。一人ひとりの従業員がやりがいを持って企業に貢献するための、環境作りという大きな役割を担うことになります。職務適正の評価は心理アセスメントとも関連し、働く人のやりがいや動機付けはチームワークの心理学や社会心理学でも学びます。働く人のメンタルヘルスの向上は、国全体としても重要視されています。健康・ポジティブ心理学やストレスマネジメント演習などの内容を、職場の健康度向上に活かすことにもつながるのです。

実習を経験することのメリットは何ですか?また、実習の内容を詳しく教えてください。

実習には、学内実習と学外実習の2種類があります。

学内実習では、心理学の研究手法である実験、調査、観察、面接などの手法を基礎からしっかりと学びます。これは、科学的な手法に基づき、実証的なデータに基づいて人間の心の動きやメカニズムを把握するために重要なことです。また、課題ごとのレポートを書くことで、論理的思考力や客観的な文章作成能力を身につけます。これは、将来、他の職種の人に自分の仕事や取り組みを伝えるために重要なポイントです。

学外実習では、心理学の知識や技術が実社会でどのように活かされているかを、体験的に理解することで、仕事と心理学の関連性をより深く考えることができるようになります。また、社会人としてのマナーやルールを身につけることにもつながります。

心理学科では、5種類の学外実習を用意しています。

「心理実習」では、公認心理師が活躍する領域・職務・施設について主体的に学び、公認心理師及び関連する心理職の仕事に必要な心構えと視点、倫理観を養います。

「心理学実践実習(産業・社会)」では、地域の企業・施設等と連携し、事前学修と施設等の見学を行い、ディスカッションやレポート提出を課すことで、広く心理学と社会との関連性を自ら見つけ出すスキルを身につけます。

「地域支援実習」では、学生がボランティアとして地域の様々なイベントに参加するという現場体験を通して、地域の特色やそこに生活する人々の環境、地域や環境を維持しようと活動している現状を理解し、多様な視点から考察する能力を修得します。

「メディアコミュニケーション実習」は、地域のマスメディアで、情報発信や情報収集の重要性、地域連携の必要性を理解させる。地域における実践活動を通して、社会人基礎力を修得し、情報を的確に伝え、つながるコミュニケーションのあり方を学修します。

「コミュニケーション実習」は、学内での事前学習と学外(小中高校)でのディベート指導実習とを通して、心理学の知識とコミュニケーション能力を現実社会でどのように活用できるかを実践的に学びます。

カウンセラーを目指していますが、カウンセラーの勤務場所と仕事の内容を教えてください。

カウンセラーの主な活動領域は、教育、医療、司法、福祉、産業など多岐にわたり、勤務する場所も幅広いです。

教育領域・・・幼稚園・保育園、小・中・高等学校や専門学校、大学など
保健医療領域・・・クリニックや診療所、病院など
司法・犯罪領域・・・家庭裁判所や少年鑑別所、少年院や刑務所など
福祉領域・・・児童相談所や精神保健福祉センター、知的障がい者更生相談所など
産業・労働領域・・・各種企業・ハローワーク・NPOの電話相談所など

仕事の内容は、もちろん働く領域によって異なってきますが、心理学を活かしたカウンセリングを行うこと、相談者の悩みをじっくりと聞いて、その人に最適な方法を見つけることなどが仕事になります。

大学院進学を考えています。大学院健康科学研究科心理学専攻の特長は何ですか?

現代社会の心の問題に対処する実践的技能を学び、広く社会で活躍できる人材を輩出することを掲げ、これまでの大学院実践臨床心理学専攻を改組し2024年度に開設しました。専攻した専門を深めるだけではなく、社会の様々な心理的問題を広い視野で俯瞰できる教育と研究を行うことを目的としています。専攻には臨床心理学コース、心理学コースの2コースがあります。

両コースそれぞれ独自の基幹科目群と展開科目群を設置し、再現性(信頼性)のあるデータ収集分析能力を含む多彩な専門教育を行います。またその一方で、臨床心理学コースの学生と心理学コースの学生とが共に学べる共通科目を用意し、両者の教育研究上の交流も促します。ともすれば実践的な技能修得に満足しがちな臨床心理学コースの学生と、社会的な問題から乖離しがちな心理学コースの学生とが、良い意味で影響を与え合うことを目指しています。

「臨床心理学コース」は
臨床経験豊富な教員スタッフと、地域に住む人々の心理相談を受け、地域に根差し実績を積み重ねてきた「心理臨床センター」(呉キャンパス)を中心として、臨床心理士と公認心理師のダブルライセンスの取得をめざします。日本臨床心理士資格認定協会の第一種指定を申請予定であり、臨床心理士養成を進めていくとともに、学部・大学院の一貫教育による質の高い公認心理師養成を行います。
臨床心理士と公認心理師の受験資格が取得可能となる予定です。

「心理学コース」は
博士後期課程への進学も視野に、学部・大学院の一貫教育のもと、基礎心理学領域の優れた研究者・教育者の養成に取り組みます。

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