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3月3日、広島県主催のイベント「Innovation Potluck」の講師として、義肢装具学専攻の谷口公友准教授が「東京パラリンピックに向けた用具開発」をテーマに、パラリンピックや義肢装具、イノベーションに興味のある方などを対象に、パラアスリートのサポートに関する取り組みを紹介しました。
本イベントは、”イノベーションの種”を持ち寄るスピーカーと参加者による「共創の場」として、研究内容の紹介とトークセッションを行いながら、将来的な研究・技術シーズの商品化や社会実装を目指し開催されています。
当日は、イノベーション・ハブ・ひろしま Camps(広島市中区)を会場に、オンラインでも開催され、企業や大学、医療機関で働く方など約20人の参加がありました。
イノベーション・ハブ・ひろしま Camps
谷口准教授は、義肢装具士が担う役割や義肢装具士としての知識や経験を生かして、陸上競技やトライアスロンのパラアスリートらに対するに用具開発の取り組みを紹介しました。
■やり投げ選手の義手開発
やり投げ種目で東京パラリンピックの出場を目指す白砂匠庸選手の「トレーニング用義手」を製作しています。実際に作った義手を仮合わせした際、肘の曲げ伸ばしに課題が生じたため、当初想定していたよりも義手の装着範囲を小さくして、肘の可動域を制限なく調整しました。今後、選手のトレーニング内容に合った義手の開発を進めていきます。
■ハンドバイク選手の足置き開発
空気特性の優れた足裏全体を支持する構造の足置きを開発中です。足置きの効果一つで、バイクを漕ぐ際に足を踏ん張る力が強くなり、選手のパフォーマンスが大きく向上します。現在、試作機は4作目までを数え、重量が大きい、空気抵抗を受けやすい、強度が弱いなど、その都度出てきた課題を解決し、試行錯誤を繰り返しながら選手にとってベストな足置きの開発に取り組んでいます。
■車いすレーサー用のグローブ開発
車いすレーサーは、手を使って車いすを漕ぐため、素手だと摩擦により傷だらけになってしまいます。これまでは、選手自らが「自由樹脂」という素材を火傷しながら熱湯で柔らかくして、自分の手の形に合わせたオリジナルのグローブを作るという時代が長く続いていました。近年は、3Dプリンターの発達により、手作りしていたグローブを再現できるようになり、谷口准教授もデジタルデータをもとにしてものづくりをする技術「デジタルファブリケーション」を取り入れながらグローブ開発に取り組んでいます。本学の義肢装具学専攻にもデジタルファブリケーション機器が揃い、新たなモノづくり拠点として県内他大学との連携を今後展開していく予定です。
今回のイベントを機に、本学企業などとの交流が生まれ、新たな製品開発などのイノベーションが生まれることが期待されます。
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研究内容を説明する谷口准教授
開発したグローブや義足