リハビリテーション学科
音声や話し言葉の誤りを各種の音声分析装置を用いて評価する実習室。声紋を描いて母音や子音の誤った発音の解析や、アクセントなど声の高低の異常を調査、また、鼻声の程度を数値で表したり、喉頭における発声機能の効率を調べたりします。
発話のいわゆる「声紋」を記録できる機器です。母音や子音を周波数解析して、各音の音響学的特徴の有無や変化、さらにアクセントやピッチ(声の高さ)の変動、声質や発話リズムの異常などを調べることができます。
音声の開鼻声の程度を数値で検査できます。従来、基準音声と比べて聴覚的に「軽度」「中等度」「重度」と主観的に段階評価していた開鼻声の程度を定量的な数値(%)として測定できます。口蓋裂言語や運動性構音障害などの声の異常などの治療時に有用な測定装置です。
異常音声を音響学に解析した結果をレーダーチャートに表示します。そのパターンの異常や偏りから喉頭調節機能を評価します。音声障害の治療に不可欠な検査機器です。
口内に置いた筒状バルーンを舌先で押した時の舌圧値を測ります。脳卒中などで麻痺した舌の運動能力の指標として嚥下障害の治療などに役立てます。広島大学で研究され、広島のメーカーが製品化した広島発の検査機器です。本学教員も、臨床データ収集に協力しています。
ボタンを押すとヒトの代わりに装置のスピーカが言葉を話します。押しボタンの数だけの語句しか話せない簡単な機器から、キーボードから文を打ち込むことにより何でも話せるコンピュータ支援の高機能装置まで、たくさんの機器があります。写真は一例です。
実習室の中には防音室が2つあります。その中には、小児用・成人用の聴覚検査機器(オージオメータ)や脳波で聞こえを測定する機器(ABR)があり、さまざまな機器を用いて聞こえの検査法を学びます。また、補聴器や人工内耳の調整法についても学びます。
聴力を検査する機器です。標準純音聴力検査、骨導聴力検査、耳鳴検査、語音聴力検査、自記オージオメトリー、幼児聴力検査などが行えます。
どのぐらい小さな音(純音)が聴き取れるかを調べる検査です。125Hz、250Hz、500Hz、1000Hz、2000Hz、4000Hz、8000Hzの周波数を調べます。音の大きさの単位は、dBHLです。若年者の平均聴力レベルは、0dBHLです。
骨導受話器の振動面を乳突部(耳後方部位)に当て、骨を伝わる音の聴こえはじめを調べます。250Hz 、500Hz 、1000Hz、2000Hz、4000Hzの周波数を調べます。難聴の種類(伝音難聴、感音難聴、混合難聴)の鑑別診断に活用できます。
およそ6か月以上の乳幼児に実施できます。スピーカからの音と光刺激の条件付けを行った後、聴力検査を行います。音が聴こえる正しい方向へ振り向いたら報酬として光刺激を与えます。振り向いたときの音の大きさを調べます。
2・3歳以上の幼児に実施できます。のぞき窓の中に報酬としてのおもちゃを見えるようにして、検査音が聴こえたら、子ども自身がボタンを押しのぞき窓をのぞくようにします。幼児が楽しみながら聴く検査ができるようにします。
聴性定常反応(Auditory Steady−State Responses:ASSR)を測定します。新生児から高齢者、障がいのある方など、音が聞こえたかどうかを応答できない人にも行える検査です。内耳(蝸牛)から脳までの聴神経の伝達経路のどこに異常があるかを調べることができます。250Hz~8kHzの聴力を推定することができ、新生児聴覚スクリーニング後の精密聴力検査や補聴器適合のための資料として広く用いられます。
歪成分耳音響放射(Distortion Product Otoacoustic Emission:DPOAE)を測定します。聴覚刺激(音波)により、外有毛細胞が活発に働くことを利用した検査です。乳幼児における感音難聴の臨床診断、新生児聴覚スクリーニングに用いられます。
外耳道から中耳までの音響インピーダンス(音の伝わりにくさ)を測定することで、中耳器官(鼓膜、耳小骨)の機能を調べる検査機器です。伝音難聴の鑑別診断に用いられます。
聴力を検査するオージオメータの機能、補聴器の特性を測定する機能、実耳測定機能を有している機器です。標準純音聴力検査、骨導聴力検査、音場聴力検査などが行えます。また、補聴器の周波数レスポンス、入出力特性、歪み率などの測定ができます。
補聴器の特性を測定する機器です。デジタル補聴器測定用スピーチ信号により、騒音抑制機能を持つデジタル補聴器の増幅特性の測定ができます。補聴器に信号が入力されてから出力されるまでの遅延時間の測定ができます。
難聴者の聞き取りを補助する補装具です。マイクで音を集めて、アンプで音をデジタル処理により増幅し、スピーカで音を発生させます。耳あな形、耳かけ形、ポケット形など補聴器があります。一人ひとりの聴力に合ったフィッティング(調整)をすることが大切です。
日本コクレア社の人工内耳をマッピング(調整)する機器です。きこえ始めの大きさの音(Tレベル)や大きく聞こえるけどうるさくはない音(Cレベル)のレベル調整をコンピュータで行います。また、蝸牛内に埋め込まれた電極に電気を流すことにより音を伝えますが、その刺激をする部位や頻度、バランスなどを調整します。
疑似ランダムノイズからホワイトノイズ、ピンクノイズ、バンドノイズを作る機器です。建築音響関連計測、残響室を用いた吸音率の測定、遮音量の測定に使用します。また、補聴器の騒音抑制装置が効果的に働いているかどうかを調べるときの雑音の発生源として使用します。
騒音の大きさを測定する機器です。A特性、C特性、Z特性により騒音の種類に応じた測定ができ、最大値 Lmax、最小値 Lmin、時間平均サウンドレベル Leqなどの測定ができます。いわゆる“大声(おおごえ)大会”の声の大きさを測定するときにも騒音計を使用します。
赤外線を用いた難聴者の音声コミュニケーションを支援するシステムです。マイクからの入力音声をFM変調し、赤外線に変換して放射します。放射されたその情報を専用の赤外線レシーバーで受信することにより、音声を聞くことができます。離れた場所でも、話者の声を適切な音量で聞くことができます。
人工内耳装用児から成人までを対象にした、音韻的要素の聴取効果、すなわち、子音、単音節、単語、文の聴取効果を評価します。 小児検査は縦断的な評価ができるように段階的に構成されています。人工内耳装用以外の難聴者の語音聴取評価テストとしても活用できます。
嚥下機能を検査するために必要な機器が揃っており、聴診器や呼吸状態をモニターしながら評価の方法について学びます。舌の力や口を開ける力を客観的に計る舌圧測定器や開口力トレーナーを使った検査や研究を行うこともできます。
臨床で実施する検査道具類があります。そのうちのいくつかを以下に紹介します。
多くの病院で導入されている、失語症に関する検査です。ことばの4つの側面である「聴く」「話す」「読む」「書く」を調べることで、失語症の有無や大まかな重症度の判定ができ、訓練計画を立てる上での手がかり得ることができます。
記憶障害が日常生活にどのように影響しているのかを調べる検査です。単純に単語や数字を覚えることではなく、道順を覚える、顔を覚える、約束を覚えておくなど、日常生活の中で記憶障害が明らかになるような場面を設定し、重症度の判定を行います。
いわゆる知能検査であり、16歳~86歳までの成人を対象としています。検査は知識、理解、語彙の表現力などを測る言語性検査と、欠けた絵の一部を推測するなど、非言語的な推理力、問題解決力を測る動作性検査に分かれており、最終的にIQを算出し、平均との差を検討することができます。
臨床で実施する検査道具類があります。そのうちのいくつかを以下に紹介します。
子どもの言語・コミュニケーション行動を評価する検査です。就学前までのことばの発達に相応した問題からなり、ことばの表出がみられない段階の子どもにも実施できます。日常的な道具や絵カードを使って、事物の概念形成や語彙・文法など、言語発達遅滞のある子どものことばの状態を評価します。
5歳から16歳までを対象とする知能検査です。全体的な知的能力の把握とともに、知識・概念などの言語能力、視覚情報の推測・統合力、ある情報を一時的に保持するワーキングメモリや視覚情報を素早く処理する能力を評価することができます。プロフィールから個人内の得意・不得意のバランスを知る手がかりが得られます。
5歳から17歳までを対象とする認知機能検査です。プランニング、注意、情報をまとまりとして統合する過程と系列順序として処理する過程の4つの側面から学習障害などをともなう子どもの認知処理特性を評価し、その理解や学習支援に役立てます。
言語聴覚療法学の勉強に重要となる人体各部位の模型があります。