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10月17日、女子100mハードルでロンドンオリンピック、東京オリンピックに出場した木村文子さん(現:エディオン女子陸上競技部 アドバイザー)による特別授業を実施しました。
木村さんは、教諭をめざし大学に進学しましたが、大学4年次の教育実習先で校長先生から「教育現場に携わるのは競技を頑張った後でも遅くない。競技の経験が将来に活きるはず。」という言葉を受け、アスリートの道に進みます。
「常に体調のコントロールが必要なアスリートは、華やかな舞台の裏で周囲の期待に対するプレッシャー、ケガやスランプを繰り返す過酷さがある。」と話してくれました。
日本選手権2連覇の自信を持って臨んだ2012年ロンドンオリンピック。およそ8万人の大観衆で走った感動と同時に予選最下位と挫折を味わいます。
世界との実力差から引退も考えたそうですが、乗り越えるきっかけは、「一人で臨んだ日本代表として辞める訳にいかない。」という強い思いでした。
教室のスクリーンに投影されたロンドンオリンピックの様子
2016年リオデジャネイロオリンピック出場を逃し、再び引退を考えたそうですが、自分を信じてくれるスタッフに支えられ、2017年世界陸上で予選敗退ならば引退と決意し、再び走ります。
2017年世界陸上は2020年東京オリンピックを競技人生の集大成として臨み、0.02秒差で予選を通過、準決勝進出を果たし、見事に東京オリンピックの日本代表を掴みます。
しかし、大会は新型コロナウィルスにより延期となり、国内大会も中止が続きます。その時の支えとなったのは、高校生との合同練習です。
高校生の姿を見て、今の自分に出来ることを積み重ねていくことの大切さを確認します。
1年後に開催された2021年の東京オリンピック。2012年ロンドンオリンピックと異なり3人の日本代表で挑み、世界への挑戦は幕を閉じます。続けていくことの大切さを感じ、後進育成の道へと進んでいます。
心理学科1年次「スポーツ心理学」
アスリートの世界でスポーツ心理学は年々重要になっています。気持ちの変化が常にあり、合宿や遠征などで聴いていた音楽を聴いて、「これだけやってきたから大丈夫」と考えたり、結果の良かったレースの動画を見て、「今日はこの時のレースが出来る」とポジティブに考える等、自分で自分をコントロールすることは、学問的にも重要です。
リハビリテーション学科1年次「リハビリテーション医学」
怪我で練習が出来ない時、休めば回復すると思っていたが、体幹・股関節の不安定さに怪我の原因があると分かった。なるべくしてなった怪我で専門職が持つ知識の重要性を感じた。選手は練習すれば大丈夫と思うため、回復を促す職種は敬遠しがち。回復の大切さを伝える職種は欠かせません。
両講義とも、アスリートは一人で戦うことは出来ず、専門職は必要不可欠な存在であることを話してくださいました。お互いの立場・役割を理解し尊重し合うこと、選手が納得できる知識を身に付ける必要性は学生にとって貴重な講義となりました。
心理学科1年 宮本萌加さん(スポーツ心理学受講)
「オリンピック選手の話しを直接聞く機会はとても貴重でした。私自身も陸上をしており、知らない所で色々な壁や悩みがあることを知ることが出来ました。今日の話しを将来に役立てていきたいです。」