Topics
タイトル
Three-dimensional analysis of locomotion patterns after hindlimb suspension and subsequent long-term reloading in growing rats
掲載誌
Journal of Biomechanics
https://doi.org/10.1016/j.jbiomech.2024.112389
著者
Norikazu Nishida, Marina Kanehara, Akinori Kaneguchi, Junya Ozawa
研究の概要
幼児期の不十分な荷重が及ぼす関節や歩行への影響については十分に判っていません.本研究では,筋骨格が未熟なラットを使用し,後肢懸垂後の大腿骨形態と,歩行パターンとの関係をX線CTと三次元動作解析により調査しました.後肢懸垂を4もしくは8週間行うと,再荷重後5週まで歩行中の骨盤の揺れの増加(股関節不安定性),股関節内転,つま先の外転(toe-out)が生じました.8週間の後肢懸垂により誘発された股関節内転とtoe-outは,54週齢(ヒトの中年に該当)においても継続しました.股関節内転と大腿骨前捻角の間には強い相関がみられ,大腿骨の内側顆/外側顆高 (内外側顆の対称性の指標) とつま先外転角度の間には中程度の相関がみられました.この結果は,幼児期の荷重不足が,骨形態異常を伴う異常歩行を誘発し,それが長期にわたり残存する可能性を示唆しています.幼児期から十分に荷重(四つ這い,立ち歩く)することは,健康的な骨形成に役立つだけでなく,歩行異常やそれに伴う関節疾患を予防出来るかもしれません.